ID番号 | : | 05417 |
事件名 | : | 給料等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 関東プレハブ事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 割増賃金の性格をもつ一定額の現場手当を支給する特約につき、現実の労働時間により計算した割増賃金額が右手当額をこえる場合の差額を事前放棄する趣旨であることにより労働基準法三七条に違反し無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法37条 労働基準法24条 |
体系項目 | : | 労働時間(民事) / 時間外・休日労働 / 時間外労働、保障協定・規定 |
裁判年月日 | : | 1965年7月15日 |
裁判所名 | : | 東京簡 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和39年 (ハ) 158 |
裁判結果 | : | 一部認容,一部棄却 |
出典 | : | 労働民例集16巻4号572頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働時間-時間外・休日労働-時間外労働、保障協定・規定〕 ところで前記事実から現場手当の性格を分析すると、現場手当は、現実の時間外もしくは休日労働が少い時でもその割り戻しは求めず、その分は現場の苦労に対する報償金としての性質を持ち、他方時間外もしくは休日労働の方が多い時には、現実の時間により計算した額が現場手当を超えるようになつても、この差額は労働者に事前に放棄して貰うこととし、もつて労務管理を簡便化しようとするものと考えられる。かような契約は労働者に有利な部分は無効ではないが、労働者に不利な部分即ちかような差額を放棄する特約は、労働基準法第三七条が労働時間を一日八時間とし、それを超える時間の労働をさせ、あるいは休日に労働させた場合は通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を払わねばならないと定めこれに達しない契約は同法第一三条により無効とされることにより、無効と解さざるをえないのであつてその差額分について、使用者は支払いの義務がある。そして右差額の計算は月給制にあつてはその月別に計算すべく、被告会社の給与計算が二五日締切でなされているので同じ区切りで計算することにする。 ところで時間外手当あるいは休日給の支払についての基準額は、現場手当が右のような性質のものである以上これを考慮にいれないで計算すべく原告の月給は三五〇〇〇円であるから一月を三〇日、一日を八時間として計算すると一日当りの賃金は一一六七円、これに労働基準法第三七条によつて同法所定による最底基準の二割五分の割増賃金を付加すると一日当り一二八四円となり、又一時間当りの賃金は一四六円である(これは割増賃金を払うべき性質なるも請求がないので請求の範囲内で判断する。)ところで前認定のように時間外労働時間、勤務すべき日以外の休日、祭日に働いた日数は別表 〔略〕 のとおりであるからこの数値を別表 〔略〕 にいれて計算し、その各数値から被告が原告に支払つたこと当事者間に争いがない別表 〔略〕 記載のとおりの現場手当金をそれぞれ控除し、それを合計すると三一〇一四円となる。 |