ID番号 | : | 05464 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 松下電器産業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 契約期間を一年として採用され、一度の更新のあった外国人技術者に対する雇止めにつき、右契約関係は期間の満了によって当然に終了するとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法629条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め) |
裁判年月日 | : | 1990年8月29日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成2年 (ヨ) 1694 |
裁判結果 | : | 申請却下 |
出典 | : | 労働判例571号24頁/労経速報1415号87頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕 ところで、労働契約について期間を定めることは、それが一年以下の期間であれば、当事者間の私的自治に委ねられるべきものであり(労働基準法一四条)、定められた契約期間の満了により、契約関係は当然に終了するのが原則である。もっとも、このような有期の労働契約が反復更新され、期間の定めが形骸化して労働契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在しているものといえる場合には、使用者の更新拒絶につき解雇に関する法理を類推適用することができるものと解すべきである。 本件についてこれを検討するに、申請人と被申請人との労働契約に期間の定めがなされた経緯は前記認定のとおりであって、有期の契約が締結されたことについてはそれなりの合理的根拠があったものというべきで、期間の定めが単なる形式だけのもので当初から毎年更新が予定されていたということはできず、また、本件当事者間の労働契約は過去に一回更新がなされただけで、申請人の側に長期継続雇用を期待させるような言動があった形跡もないのであって、申請人側に更新を期待しうるだけの格別の合理的理由はなかったというべきである。してみると、本件の更新拒絶の措置に解雇に関する法理を類推適用する余地はなく、本件当事者間の労働契約は、平成二年七月二〇日の経過によって当然に終了したものというべきである。 なお、申請人の被保全権利に関する申請理由は、必ずしもその趣旨が明確ではないが、以上の認定・判断を妨げる事由とはいえず、主張自体において失当である。 |