全 情 報

ID番号 05498
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 大阪大学事件
争点
事案概要  国立大学付属図書館の日々雇用の非常勤職員につき、任用期間の満了により職員たる地位が終了したとされた事例。
参照法条 労働基準法2章
国家公務員法59条
国家公務員法60条
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 1990年11月26日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和60年 (ワ) 2097 
裁判結果 棄却
出典 訟務月報37巻5号950頁/労働判例576号45頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 (1) 国公法上、一般職職員の期限付任用は、同法五九条(条件付任用)及び六〇条(臨時的任用)以外にも、明文の規定はないが、期限付任用を必要とする特段の事由があり、且つ、期限付任用が同法に定める職員の身分保障の趣旨に反しない場合には許されると解するのが相当である(最高裁昭和三八年四月二日第三小法廷判決参照)。
 従って、同法附則一三条に基づく人事院規則八-一四第一条、同八-一二第七四条一項三号、二項が規定する日々雇用非常勤職員、文人任第四六号、第五四号が規定する文部省における日々雇用非常勤職員の任用は、右の趣旨に添う限り、国公法に違反しない。
 (2) 日々雇用非常勤職員の任用が専門的知識、経験、習熟を要する恒常的職種について行われた場合、その任用は違法と解されるが、右の場合、任用行為の付款たる任期の定めのみを無効とし、任用自体は任期の定めのない任用であると解することはできない。その理由は、国公法制上、任期の定めのない非常勤職員の任用は存在せず、又、日々雇用非常勤職員の任用と任期の定めのない職員の任用と、任用権者、任用方法が異なっていること(以上は当事者間に争いがない)、従って、又、日々雇用非常勤職員の任用権者において、付款たる任期の定めがなくても、なお、任期の定めのない非常勤職員或いは常勤職員として任用したと解する余地は全くないからである。
 2 原告の主張2について
 日々雇用非常勤職員の任用が許容される場合、右任用が、任用予定期間をも超えて反復繰返されたからといって、期限の定めのない任用に転化するとは解されない。何故ならば、日々雇用非常勤職員の任用の内容は、法律によって規定されているのであり、任用権者及び人事担当者の合理的意思解釈によって決し得るものではないからである。