全 情 報

ID番号 05504
事件名 雇傭契約上の地位確認等請求事件
いわゆる事件名 千葉県レクリエーション都市開発会社事件
争点
事案概要  千葉県が資本の四〇パーセントを出資して設立した第三セクター方式の会社で営業本部次長の地位にあった者が、経営者に対する批判、人事に対する介入等を理由として懲戒解雇にかえて普通解雇されたのに対して、右解雇の効力を争った事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法89条1項3号
労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒解雇の普通解雇への転換・関係
解雇(民事) / 解雇権の濫用
裁判年月日 1991年1月23日
裁判所名 千葉地
裁判形式 判決
事件番号 昭和63年 (ワ) 1102 
裁判結果 認容(確定)
出典 労働民例集42巻1号11頁/労働判例582号67頁/労経速報1435号15頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒解雇の普通解雇への転換・関係〕
 被告の就業規則三二条の規定に徴すると、被告は右の就業規則を制定することによって自ら解雇権を行使しうる場合を就業規則所定の事由がある場合に限定したものと解されるから、そのいずれにも該当しない事由により解雇することは許されないものというべきである。
 もっとも、就業規則において懲戒解雇事由をもって通常解雇をなしえないと明確に定められている場合を除いては、懲戒解雇事由に該当する事由がある場合には通常解雇をすることができる旨を定めているものと解するのが相当である。
 〔中略〕
 被告の就業規則において懲戒解雇事由をもって通常解雇をなしえないと明確に定められていないことが認められるから、被告の就業規則は懲戒解雇事由に該当する事由がある場合には通常解雇をすることができる旨を定めているものと解すべきである。
〔解雇-解雇権の濫用〕
 原告が、春日専務取締役及び近藤社長らの注意に対し、反省することなく、反抗し、かえって役員の経営能力等を批判し、右の注意及び社印使用簿に関して暴言を吐いたことは前示のとおりである。
 原告の右の言動は、会社の秩序または職場の規律を乱すものということができるから、被告の就業規側五条二号、三五条一号、三六条四号に定める懲戒解雇事由に当たるものである。
 しかし、前示の事情に照すときは、原告に対し解雇をもってのぞむことは、社会観念上相当なものとはいえないから、本件解雇は解雇権の濫用として無効である。