ID番号 | : | 05532 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 東京メデカルサービス・大幸商事事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 経理部長の職にあった労働者が、会社の仕入・取引につき自分が取締役をやっていた会社を介在させていたことにつき、会社が右事実を調査・照会し始め上司がそれについての指示したにもかかわらず欠勤を続けたとして懲戒解雇されその効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 労働基準法11条 労働基準法3章 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為 賃金(民事) / 退職金 / 懲戒等の際の支給制限 賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 賞与請求権 |
裁判年月日 | : | 1991年4月8日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成1年 (ワ) 9794 平成2年 (ワ) 793 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報1427号13頁/労働判例590号45頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕 A会社の就業規則 〔中略〕 によれば、懲戒解雇ができる場合として六六条一号に「正当な理由なく無断欠勤が七日以上におよび出勤の督促に応じなかった者」、二号に「職務上、上長の指揮命令に従わず、職場の秩序を乱した者」が定められているところ、Bの前項7で認定した行為は就業規則六六条一、二号に定める懲戒解雇事由に該当するというべきである。 そこで、本件懲戒解雇に懲戒権の濫用となるべき事由があるかについて判断するに、本件懲戒解雇に至った事情として前項4ないし6で認定したようにBがA会社の経理部長でありながら、C商事の代表取締役となり営業行為をしたことがあり、これをどう評価するかの問題がある。思うに、BはA会社の経理部長であるから、A会社に対してその職務を誠実に履行する職務専念義務ないし忠実義務を負うものであり、許可を得ることなく、他の会社の代表取締役となり、A会社に関連する取引をして利益をあげるということは、重大な義務違反行為であるといわなければならない。本件懲戒解雇の背後にあるこの重大な事情をも考慮して、本件懲戒解雇の効力を判断するに、本件懲戒解雇は相当であって、懲戒権の濫用をうかがわせる事情は認められず、本件懲戒解雇は有効であるというべきである。 〔賃金-賞与・ボーナス・一時金-賞与請求権〕 賞与は職員の勤務成績に応じて支給する(同規定三〇条)と定められているように、使用者の具体的決定がなければ、具体的な請求権として発生したとはいえないのみか、前記判断のとおりBには懲戒解雇事由があり、使用者が賞与を支給しないと決定することも不当であるとはいえない事情もあり、賞与の請求は認められないというべきである。 〔賃金-退職金-懲戒等の際の支給制限〕 退職金規定 〔中略〕 によれば、懲戒解雇を受けた者については退職金を支給しない場合がある(四条本文、一号)と定められているところ、吉田に対する本件懲戒解雇が有効であることは前記判断のとおりであるから、退職金請求権は発生しないというべきである。 |