ID番号 | : | 05541 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 山陽電気工事事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労働者が退職届けを提出したところ、会社が、右労働者が工事状態の確認を怠ったこと等により会社に重大な損害を与えたとして懲戒解雇し退職金の支払いを拒否したのに対して、右解雇の無効確認と退職金の支払いを請求した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用 |
裁判年月日 | : | 1991年6月11日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和63年 (ワ) 17382 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労経速報1433号6頁/労働判例592号35頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕 原告が本件現場代理人として確認義務を怠り、工事の欠陥を看過した事実については、前記のとおりこれを認めることができるが、前記認定の諸事情に照らせば、この事実は被告会社の懲戒解雇事由に該当するものではないと解すべきである。すなわち、欠陥工事を直接担当したのはA会社であるが、原告の上司に当たるB副所長がA会社を下請業者として選定したこと、原告はその施工能力に疑問を抱き、同副所長に善処方を頼んでいたこと、それにもかかわらず、同副所長はなんらの措置を取らなかったこと、本件工事の規模が大きく、原告ら担当者だけですべての工事の確認をすることは、事実上困難であったことなど前記認定の事情を考慮すると、原告の現場代理人としての確認義務違反については、原告の責任を重大視し、原告を強く非難するのはいささか酷であるといわざるを得ない。したがって、被告会社の就業規則にいう「その情が重いとき」という要件を満たしていないものと解すべきである。 次に、A会社に対する支払を出面払いで行った事実については、前記認定のとおり被告会社に虚偽の報告をしたものではなく、B副所長の承認を得ていたものであるから、懲戒事由に該当しないことは明らかである。また、無断欠勤の事実については、前記のとおりこれを認めることができない。 そうすると、原告について懲戒解雇事由の存在を肯定することができないことになるから、被告のした懲戒解雇は、その効力がない。 |