ID番号 | : | 05636 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 従業員学歴・職歴詐称事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 高校中退であるのに高校卒業として学歴を詐称し、さらに職歴を偽ったとしてなされた女子職員に対する解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 経歴詐称 解雇(民事) / 解雇権の濫用 |
裁判年月日 | : | 1991年12月24日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (ワ) 7624 |
裁判結果 | : | 一部認容,一部棄却,一部却下(控訴) |
出典 | : | 時報1408号124頁/労働判例602号13頁/労経速報1456号16頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-経歴詐称〕 履歴書と住民票の提出が平成二年一月三一日であったという事実を前提としてみると、履歴書の書直しをする前に原告の学歴詐称が判っていたわけであるから、学歴詐称をしていたこと自体は原告の再入社後それほど期間を置かないで被告代表者の知るところとなったといえる。そして、職歴詐称についても、前記のとおり住民票の提出後間もなく勤務期間に疑問をもったうえ、その提出があった二、三日後には被告からA店に問い合せをして確認した(被告代表者の供述)のであるから、同年二月初めには被告代表者において十分認識していたことになる。ところが、被告が原告に対して解雇の意思表示をしたのは同年三月一六日であって、学歴詐称及び職歴詐称の事実を知りながら一月半もの間、原告に対してなんらの措置も取っていないのである。そうだとすると、被告が原告の学歴詐称及び職歴詐称を直接的理由として本件解雇をしたと考えるのは、いささか問題であって、原告主張のように、解雇理由は他にあるとの疑いを抱かざるを得ない。 〔解雇-解雇権の濫用〕 以上の点を総合してみると、被告のした本件解雇については、学歴詐称及び職歴詐称を理由としてされたものと認めることはできず、結局その理由は明らかではなく、正当な理由とはなり得ない事由をもって解雇した疑いが強いものといわざるを得ないのである。そうだとすると、本件解雇は解雇権の濫用に該当するというべきであり、その効力を否定せざるを得ない。 |