全 情 報

ID番号 05652
事件名
いわゆる事件名 中央労働基準監督署長事件
争点
事案概要  業務上の負傷による障害として両側常在性耳鳴につき、労基法施行規則別表第二身体障害表の第一四級九号により上位に該当するとはいえないとされた事例。
参照法条 労働基準法77条
労働基準法施行規則別表第2
体系項目 労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 障害補償(給付)
裁判年月日 1963年9月2日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和36年 (行) 92 
裁判結果 棄却
出典 タイムズ151号171頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-障害補償(給付)〕
 前掲(証拠-省略)によると医師が原告に対し脳波検査、髄波検査、腱反射検査、レントゲン検査等をした結果では、原告の身体に、前記耳鳴、背椎変形の外は、病的異状を発見することができなかつたことが認められるのみならず、他に原告が訴えるような身体上の障害があることを認めるに足りる証拠がない。
 そうすると、原告の身体には、本件業務上の負傷による障害としては、前記耳鳴が存在するにすぎない。
 そこで、原告の耳鳴が障害等級第一四級の九より上位の等級に該当するかどうかを検討するに、原告尋問結果によると、原告は本件作業上の負傷後は、それ以前に比べると、作業を休む日が多くなつたが、しかし、一ケ月のうち、休日及び従来から作業を休むことがあつた雨天の日を除いて、なお、一五日ないし二〇日間は作業に従事していることが認められ、この事実に前掲証言を総合すると、原告の耳鳴は、原告の労働力を著しく低下させる程頑固なものでなく、障害等級第一二級の一二にいわゆる「局部に頑固な精神症状を残すもの」に該当するに至らないものと認められ他に原告の耳鳴が障害等級第一四の九より上位のいずれかの等級に該当するものと認め得べき証拠はなく、けつきよく、前記認定の事実及び前掲証言によると、障害等級第一四の九にいわゆる「局部に神経症状を残するもの」に該当するものと認めるほかはない。
 そうすると、被告がした原告の身体上の障害を障害等級第一四級の九に該当するものとし、同級相当の障害補償金を支給する旨の本件処分を違法とすることはできない。