ID番号 | : | 05678 |
事件名 | : | 遺族補償併合請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 戸塚管工事事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労働者が業務従事中に死亡した場合に、労災保険法に基づく遺族補償給付と労基法に基づく遺族補償との間に差額があるとき、その差額の補償につき使用者が支払義務を負うか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法84条1項 労働基準法79条 労働者災害補償保険法16条の6 労働者災害補償保険法16条の8 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 労基法との関係 |
裁判年月日 | : | 1971年1月30日 |
裁判所名 | : | 横浜地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和43年 (ワ) 74 昭和42年 (ワ) 1931 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | タイムズ269号292頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-労基法との関係〕 労働基準法と労災保険法との関係をみると、労働基準法は労働者保護法の基本法であり、労災保険法は、昭和四〇年の改正前までは、労働基準法の災害補償義務を担保する一種の責任保険としての性格をになつた法律であつた。 右改正後、労災保険法が単なる災害補償義務の履行担保から、それをうわまわる被災労働者の生活保障、社会保障としての色彩を強めたことは、労災保険法の給付の年金化傾向、打切補償にかわる長期傷病者補償制度の導入などによつて知ることができる。しかしながら、その「責任保険としての性格」が失われたものとは解されない。従つて、使用者が免責されるためには、労働基準法に定める給付を、労災保険法に基づく給付が完全にこれを履行する必要があるものと云うべきである。 本件のように、労災保険法に基づく給付と労働基準法に定める金額との間に差額があるときは、改正前の労働基準法第八四条と同様に、「補償を受けるべき者が、同一の事由について、労災保険法によつて保険給付を受けるべき場合においては、その価額の限度において使用者は補償の責を免れ」るものと解するのが相当である。 よつて、被告会社のこの点に関する主張は採用の限りでない。 従つて、原告らは被告会社に対し、遺族補償金として、労働基準法第七九条に基づき、訴外清の平均賃金の一、〇〇〇日分を請求できる。 |