ID番号 | : | 05697 |
事件名 | : | 公務外認定処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 地公災基金大阪府支部長(府立身障者センター)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 府立身体障害者福祉センターで職業指導員として勤務している者が業務中に通路の鉄製の手摺りで背中を強打し倒れ受傷した事故(第一事故)後、自宅浴室のタイル床で転倒し受傷した事故(本件事故)につき、第一事故と相当因果関係があり、かつ、過重な業務も一因となって生じたものであるから公務災害として補償されるべきであるとして、不支給処分の取消を求めた事例。 |
参照法条 | : | 地方公務員災害補償法1条 地方公務員災害補償法26条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性 |
裁判年月日 | : | 1989年6月12日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和59年 (行ウ) 63 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例543号48頁/労経速報1372号30頁 |
審級関係 | : | 控訴審/05556/大阪高/平 3. 4.23/平成1年(行コ)20号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕 原告は第一事故の八か月前からレックリング病による高度の脊柱彎曲に起因する歩行障害を訴え、医師の所見によっても錐体路障害、反射亢進、排尿障害、下肢筋力低下等、比較的軽度ではあるが原告の脊髄の病変を窺わしめる兆候が発現し、且つ、右症状は緩やかながらも進行していたと目されること、第一事故による圧迫性脊髄損傷に伴う急性症状は約十日間で消退し、再発しなかったこと、右急性症状消退後原告に残存した諸症状はレックリング病によって生じた高度の脊柱彎曲症の自然の進行によっても起こり得ること、レックリング病が脊柱彎曲症等を合併している場合自然の経過によっても急速に機能障害が増悪する症例があり、原告においても第一事故後緩徐ながらもレックリング病の進行に伴う神経障害が蓄積していったと考えるべきこと、それ故、原告の第一事故後の症状は第一事故による圧迫性脊髄障害とレックリング病の進行に伴う神経障害が複雑に混在していることが認められる。そうすると、原告の、第一事故による急性症状消退後の諸症状なかんずく両下肢の筋力低下、知覚鈍麻が第一事故のみに起因し、或いは第一事故が相対的に有力な要因になっていると断じることは困難である。 従って、本件事故が第一事故後原告に存在した両下肢の筋力低下、知覚鈍麻が原因となって起きたとしても、本件事故と第一事故の間に相当因果関係を認めることはできない。 よって、原告の右主張を前提とする本件事故の公務起因性を認めることはできない。 |