ID番号 | : | 05702 |
事件名 | : | 公務外災害認定処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 地方公務員災害補償基金東京都支部長(大塚ろう学校教員)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | ろう学校教員が教科の説明中に男子生徒に肘で頚部を強打されて受傷し、頚椎変形症と診断された疾病について、公務起因性を争つた事例。 |
参照法条 | : | 地方公務員災害補償法1条 地方公務員災害補償法26条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 災害性の疾病 |
裁判年月日 | : | 1990年1月26日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和60年 (行ウ) 19 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例556号41頁/判例地方自治75号30頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-災害性の疾病〕 原告は、本件疾病は外傷性のもので、原告は本件事故のほか頚部に特に外傷を受けたことがないから本件事故と原告に発現した様々の症状の原因たる本件疾病との間には相当因果関係があると主張するので検討する。〔中略〕 そこで、原告が本件事故により傷害を受けた部位を検討してみるに、特別の事情がない限り、事故後最初に現われた症状が当該事故による症状と解するのが相当であるところ、前記二及び右認定の各事実によると、本件事故後一か月程して原告に上位頚椎の病変の症状が出現し、下位頚椎の病変の症状が出たのは本件事故後三年以上も経ってからであり、他の特別の事情も認められないから、原告が本件事故により受けた傷害の部位は上位頚椎であることが推認される。他方、本件疾病を検討してみるに、証人Aの証言及びこれにより成立の認められる乙第一号証によると、原告の罹患した本件疾病は第五、第六頚椎椎間板の軽度の狭小と後彎形成及び第六、七頚椎体全面の骨棘形成がみられるという病変であることが認められるから、本件疾病は下位頚椎の病変であり、右に認定した事実によると、下位頚椎の病変からは手の痺れや首の痛み等の上肢の神経症状が発現し、前記二認定の事実によると、本件事故から三年以上経って初めて頚部の圧迫、手、胸部、背部の痛み等の上肢の症状が発現しているから、右各症状は原告の罹患した本件疾病によるものである。したがって、下位頚椎の病変である本件疾病が上位頚椎への傷害を惹起した本件事故に起因しているものということはできない。 |