ID番号 | : | 05731 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 福岡大和倉庫事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 乳製品の入出荷作業に従事していた一年の期間つきで雇われた労働者に対する期間満了を理由とする雇止めの効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法21条 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め) |
裁判年月日 | : | 1990年12月12日 |
裁判所名 | : | 福岡地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和62年 (ワ) 3383 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働判例578号59頁/労経速報1425号10頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 市川俊司・労働法律旬報1255・1256号8~13頁1991年1月25日 |
判決理由 | : | 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕 本件雇用契約が期間の定めのないものから期間の定めのあるものに改められている以上、これを期間の定めのない雇用契約であると解することはできないものの、その期間の定めは一応のものであって、単に期間が満了したという理由だけで雇止めになるものではなく、双方に特段の支障がない限り雇用契約が更新されることを前提として締結されたもので、しかも具体的な労働条件等の内容も長期間雇用が継続されることを前提として協議され、確定されてきたものであるから、右認定の諸事情のもとでは、その後に生じた事業上やむをえない理由により新たに余剰人員が発生してこれを削減する必要があるのに、その余剰人員を配置転換などによって企業内で吸収する余地がないなど、被告において従来の取扱を変更して雇用契約を終了させてもやむを得ないと認められる特段の事情が存しない限り、期間満了を理由として直ちに雇止めをすることは、信義則上からも許されないといわなければならない。〔中略〕 以上検討してきた本件における一連の特殊な経緯、雇用の実態と人員削減の必要性、人員削減の時期及び方法、労使間の交渉過程等諸般の事情を総合的に検討すると、本件については、被告において従来の取扱方針を変更して雇用契約を終了させてもやむを得ないといえるような特段の事情は存在しないと言うべきであるから、被告が本件雇用契約で形式的に定められている雇用期間が満了したことを理由として原告らに対し直ちに本件雇止めをしたことは、信義則上からも許されないものと言わなければならず、他に、本件雇用契約の更新を妨げるような事情は主張されておらず、そのような証拠もないので、原告らは、本件雇用契約が更新されたことにより被告の従業員としての地位を継続して有する者と認められる。 |