全 情 報

ID番号 05733
事件名 労働災害補償給付不支給決定等取消請求事件
いわゆる事件名 王子労働基準監督署長(昭和重機)事件
争点
事案概要  労働者が、くも膜下出血につきボール盤のハンドルが落下して頭部を強打した事故によるものであるとして、業務災害でないとした労働基準監督署長の不支給処分を争った事例。
参照法条 労働者災害補償保険法7条1項1号
労働基準法75条1項
労働基準法76条1項
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性
労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等
裁判年月日 1990年12月13日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和62年 (行ウ) 28 
裁判結果 棄却
出典 労働判例575号6頁/労経速報1422号16頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕
 労働者災害補償保険法一条にいう業務上の事由による労働者の負傷、疾病、障害」に該当する場合及び労働基準法七五条一項(同法七六条一項も同じ)にいう「業務上負傷し、又は疾病にかかった場合」とは、右負傷又は疾病と業務との間に相当因果関係のあることをいうと解すべきである。
〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕
 原告は、労働省昭和六二年一〇月二六日基発第六二〇号通達「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」に照らしても、本件疾病の業務起因性が認められるべきであると主張する。しかし、以上認定したところによれば、原告の脳動脈瘤が昭和五五年三月二一日ころに初めて破裂してくも膜下出血を起こした蓋然性が高く、原告の本件事故後くも膜下出血が明白に認められる同日までの間の症状は、前記のとおり脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血に見られる一般的な初発症状とは異なるものであって、右通達に定める前記第二の二1(二)(8)記載の【1】及び【3】の要件を欠くものといわざるを得ないから、原告の右主張は採用することができない。