ID番号 | : | 05783 |
事件名 | : | 雇用契約上の地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本たばこ産業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | たばこの包装作業に従事していた女子労働者が頚肩腕症候群にかかり療養のため休業を続けたのに対して、休職期間満了により退職扱いとされたため、右疾病は業務に起因するものであり、退職扱いを違法であるとして雇用契約上の地位確認と使用者に対する安全配慮義務違反を理由とする損害賠償を請求した事例。 |
参照法条 | : | 民法415条 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任 休職 / 休職の終了・満了 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性 |
裁判年月日 | : | 1991年8月26日 |
裁判所名 | : | 静岡地浜松支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和59年 (ワ) 19 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例597号37頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕 五九号通達によれば業務起因性の頚肩腕症であれば業務を離れて適切な治療を行えば症状は三か月ないしはこれを基準とする短い期間程度で消退するとされているのであるから、前記のような体質的素因がない限り原告の長期にわたる療養期間を経てもなおその症状が残ることを説明できないというべきであるから、これらの事実及び証拠によっても前記体質的素因の存在を否定することはできない。〔中略〕 原告は、原告の疾病と原告の従事した業務との間の相当因果関係すなわち、原告の疾病について業務が相対的に有力な原因であったことについて立証責任を負い、具体的には原告の従事した業務の過重性と原告の疾病及び業務従事期間や業務内容、症状経過と業務の関係といった原告の疾病が業務によって発生したということが医学的にみて相当であることを基礎づける事実について立証し、かつ、被告が原告の疾病の原因として体質的素因等業務以外の原因を立証(間接反証)した場合には、その業務以外の原因を含めてもなお業務こそが原告の疾病の相対的有力原因であることを立証すべき責任を負うというべきところ、本件では、原告の業務は頚肩腕症の発症をもたらすような過重性について証明がなく、また原告の疾病を業務に起因するとの医学的見解も信用性に乏しく、他方、原告には変形性頚椎症や婦人科疾患の素因があると認められるので、結局原告の頚肩腕症の発症及び再発、再再発について業務が相対的に有力な原因であり、両者の間に相当因果関係があると認めることができない。 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕 〔休職-休職の終了・満了〕 よって、原告の頚肩腕症が業務に起因することを前提とする失職処分無効、安全配慮義務違反、損害賠償の主張はいずれも失当であるから、原告の請求はいずれも棄却すべきである。 |