ID番号 | : | 05812 |
事件名 | : | 審査請求裁決取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 西宮労働基準監督署長(富樫建設)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | エスカレーター建設用の穴に転落して負傷した労働者が、一四級に該当する障害があるとして労働基準監督署長が行なった障害補償支給処分を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法施行規則40条 労働基準法施行規則別表2 労働基準法77条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 障害補償(給付) |
裁判年月日 | : | 1991年10月15日 |
裁判所名 | : | 神戸地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (行ウ) 9 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例602号53頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-障害補償(給付)〕 労働者災害補償保険上における「治癒」とは、被告の主張1の(一)のとおり、業務上の負傷又は疾病に対して医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待し得ない状態に至ったことをいうのであるから、原告に右主張にかかる症状が仮に継続していたとしても治癒と認定することが妨げられないのみならず、前判示の治療経過及び診断結果等によれば、本件傷害は昭和六〇年一一月三〇日には右の意義において治癒(症状固定)したことは明らかである。〔中略〕 原告の前記主張に係る後遺障害が前記障害等級一四級九を超えるものであるとすれば、それは障害等級一二級七(一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの)、または同一二級一二(局部に頑固な神経症状を残すもの)ないしそれを超える等級に該当するとの主張になるものと解されるが、「一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の運動可能領域が健側の運動可能領域の四分の三以下に制限されることであり、また局部に頑固な神経症状を残すものとは、他覚的に神経系統の障害が証明されるもので、労働には通常差し支えないがときには強度の疼痛のためある程度差し支える場合があるものであると解されるところ、前記認定にかかる原告の左膝関節部の機能障害の程度によれば、原告の右後遺障害は、労働には差し支えないが受傷部位にほとんど常時疼痛をのこすものと解釈される一四級九の症状を超えるものとは到底判断しえないし、また右一二級七に該当する機能障害は存しないことは明らかである。また他に前記原告の主張を認めるに足る証拠もない。 |