全 情 報

ID番号 05813
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 セントラルフィルター工業事件
争点
事案概要  住所の虚偽申告、勤務態度不良等を理由に解雇された労働者が、右解雇および労働契約の締結過程が不法行為を構成するとして損害賠償を請求した事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 就業規則所定の解雇事由の意義
裁判年月日 1991年10月22日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成3年 (ワ) 1859 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1454号17頁/労働判例602号48頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-就業規則所定の解雇事由の意義〕
 原告は、被告会社からの解雇が不法行為にあたると主張するが、その解雇に至る事情は、前記認定のとおりであって、原告を解雇したことが不法行為に該当するものと解することはできない。
 すなわち、もともと原告は、被告会社から一旦採用を断られたにもかかわらず、「なんとかアルバイトでテストしてもらいたい。」と懇請して、その前提で被告会社に採用されるに至ったものであるところ、原告が被告会社に採用されるにあたって申し出た現住所が虚偽であったことは、被告就業規則第6条2に該当し、同第48条9又は第71条7にそのまま該当するかどうかはともかく、これに準ずるものとして、同第48条12、第71条17に該当する。被告会社に勤務中の原告の仕事振りは、同第5条1に沿わないものであり、仕事上の指示等に対して反発したことや休業を命じられたにもかかわらずこれに従わず、勝手に指示のない図面を書いたり、上司の命令に従わなかったことは、同第71条8に該当し、また、同第4条に違反し、同第71条12、第48条11に準ずるものとして、同条12に該当し、さらに、同第71条9に準ずるものとして、同条17に該当する。他の従業員から苦情の申し出のあった勤務時間内の宗教の話や女子従業員から揶揄と受け取られた発言等は、同第4条10、11に該当する。労働基準監督署に行って被告会社が違法なことをしているかのような申し出をしたことは、同第6条1に違反し、同第71条12に該当する。
 そして、これらの事由に前示の経過を総合すると、原告の解雇をもって不法行為と断ずることは到底できない。