ID番号 | : | 05845 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 昭和女子大学事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 私立大学の教授として勤務していた者が、勤務継続の意思を持ちながら、反省の意味で退職願いを提出して受理された後、右退職の意志表示は心裡留保により無効であるとして、退職の効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法93条 |
体系項目 | : | 退職 / 退職願 / 退職願と心裡留保 |
裁判年月日 | : | 1992年2月6日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成3年 (ヨ) 2290 |
裁判結果 | : | 一部認容,一部却下 |
出典 | : | 労経速報1453号25頁/労働判例610号72頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職-退職願-退職願と心裡留保〕 債務者は、債権者の平成三年三月一二日付けの退職願を同年五月一五日に受理することにより退職の合意が成立し、右合意に基づき同年九月末日に退職を発令したものである旨主張する。しかしながら、右認定事実によれば、債権者は反省の意を強調する意味で退職願を提出したもので実際に退職する意思を有していなかったものである。そして、右退職願は勤務継続の意思があるならそれなりの文書を用意せよとのA学長の指示に従い提出されたものであること、債権者は右退職願を提出した際にA学長らに勤務継続の意思があることを表明していること等の事実によれば、債務者は債権者に退職の意思がなく右退職願による退職の意思表示が債権者の真意に基づくものではないことを知っていたものと推認することができる。そうすると債権者の退職の意思表示は心裡留保により無効であるから(民法九三条ただし書)、債務者がこれに対し承諾の意思表示をしても退職の合意は成立せず、債権者の退職の効果は生じないものというべきである。 |