ID番号 | : | 05847 |
事件名 | : | 懲戒処分無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 中国電力事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 組合員が就業時間外で会社の原子力発電所建設反対のビラを配布したことを理由として懲戒処分(休職あるいは減給)を受け、その効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 会社中傷・名誉毀損 |
裁判年月日 | : | 1992年3月3日 |
裁判所名 | : | 最高三小 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (オ) 156 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報1454号22頁/労働判例609号10頁 |
審級関係 | : | 控訴審/04933/広島高/平 1.10.23/昭和60年(ネ)49号 |
評釈論文 | : | 石橋洋・民商法雑誌108巻1号105~109頁1993年4月 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-会社中傷・名誉毀損〕 労働者が就業時間外に職場外でしたビラの配布行為であっても、ビラの内容が企業の経営政策や業務等に関し事実に反する記載をし又は事実を誇張、わい曲して記載したものであり、その配布によって企業の円滑な運営に支障を来すおそれがあるなどの場合には、使用者は、企業秩序の維持確保のために、右ビラの配布行為を理由として労働者に懲戒を課することが許されるものと解するのが相当である(最高裁昭和五三年(オ)第一一四四号同五八年九月八日第一小法廷判決・裁判集民事一三九号三九三頁参照)。右と同旨の見解に立ち、原審がその適法に確定した事実関係の下において、上告人らは、本件ビラの配布を行ったことにおいて、被上告会社の就業規則に定める懲戒事由の「会社の体面をけがした者」及び「故意または重過失によって会社に不利益を及ぼした者」に該当するものであるとした判断は、正当として是認することができる。所論違憲の主張は、本件ビラの配布を理由として懲戒を課することは公序良俗に違反するとして原判決の法令違背をいうに帰するところ、右懲戒権の行使は、上告人らの表現の自由を不当に侵害するものとはいえず、また、上告人らの思想、信条自体を規制しようとするものでもないから、公序良俗に反するものではない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。 |