全 情 報

ID番号 05853
事件名 処分無効確認事件
いわゆる事件名 JR東日本(高崎西部分会)事件
争点
事案概要  運転所長に対する団交要求行動に参加したことを理由とする訓告、厳重注意につき、処分の相当性を欠くとして無効とされた事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1991年3月22日
裁判所名 前橋地高崎支
裁判形式 判決
事件番号 昭和62年 (ワ) 311 
裁判結果 一部認容(控訴)
出典 労働判例603号84頁
審級関係 控訴審/東京高/平 4. 2.10/平成3年(ネ)1146号
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 (3) 原告X1ら(X2を除く)に対する「厳重注意」の相当性
 原告X1ら(X2を除く)に対する「厳重注意」の事由のうち、前記(1)のとおり、重大な評価の要素となる「不退去」の事実について誤認があり、もう一つの事由である「無断入室」については、前記(二)(1)のとおり、その非違性が低いことを考慮すれば、本件厳重注意は著しく公正さを欠き、相当性がないものといわざるをえない。そして、原告X1らには、「不退去」の事実がなかったことを明らかにするという意味で、右処分は、無効とされるべきである。
 (4) 原告X3に対する「訓告」の相当性
 原告X3に対する本件「訓告」の事由のうち、「誹謗」の内容は前記のとおり穏当を欠くものであり、職場規律や協調性を重視する被告会社においては「社員としての自覚に欠ける」と評価される上で重要な要素になると考えられる。しかし右「誹謗」は口頭の発言であり、かつ、その事情を知る者らのみに認識されたにすぎないものであったこと、前記(1)検討のとおり、行動による明確な規律違反となる「不退去」の事実はより重大であって、原告X3に対する処分においても、「不退去」の事実が決定的な影響を与えたものと考えられること、「誹謗」に至った背景に前記(2)の事情も認められること及び「無断入室」については、前記(二)(1)のとおり、その非違性が低いことを総合すれば、原告X3に対する本件訓告も公正さを欠く不相当なものといわざるをえず、少なくとも原告X3には、「不退去」の事実がなかったことを明らかにするという意味で、右処分は無効とされるべきである。