ID番号 | : | 05859 |
事件名 | : | 仮処分異議事件 |
いわゆる事件名 | : | エイト交通(仮処分異議)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | タクシー運転手に対する無断欠勤、業務命令違反、同僚に対する暴行・傷害を理由とする懲戒解雇につき、右事由が存在しないとして無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤 |
裁判年月日 | : | 1991年9月5日 |
裁判所名 | : | 札幌地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (モ) 1920 |
裁判結果 | : | 認可 |
出典 | : | 労働判例608号47頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務懈怠・欠勤〕 1 無断欠勤について 就業規則の定め及び債務者における当時の年次有給休暇取扱手続を勘案すると、当時は、債務者の従業員が配車係または事務の従業員に年次有給休暇を取る旨伝えて、専務の机の上に休暇願を提出すれば、債務者が時季変更権を行使しない限りその請求した日時が休暇となるものと解すべきである。 そうすると、本件においては、債務者は時季変更権を行使していないのであるから、債権者が休暇願を専務の机上に提出した時点において、その時点以降が債権者の休暇となったものというべきである。 したがって、無断欠勤の点については懲戒事由は存しないものというべきである。 2 呼出(業務)命令違反について 一、9記載の書面(〈証拠略〉の内容証明郵便)の文言自体が任意の出頭を促すものか業務上の命令なのかはっきりしないこと、右書面に出頭目的が何ら記載されていなかったこと、AやBも債権者にその目的を明らかにしていないこと、債権者のほかに出頭を求められたのが、組合の執行副委員長のC及び組合員二名であること、出頭すべき場所も債務者の事務所でもないこと、出頭すべき日が債権者の休日であったこと及び当時債権者らの属する組合と債務者とが労働委員会において係争中であったことの各事実を考慮すれば、債務者の主張するDへ出頭すべき業務命令自体が存在しなかったというべきである。 したがって、業務命令違反という懲戒事由も存在しないものというべきである。 3 従業員に対する傷害について 債権者が、Eの右腕を両手で掴み引いた事実については、その程度及び動機に照らし、これを債権者のEに対する不法な有形力の行使ということはできないし、すでに述べたとおり、債権者の行為によりEの右肩関節部挫傷の傷害が発生したと一応認めるに足りる証拠もないから、債権者がEに傷害を負わせたという懲戒事由は存在しないものというべきである。 4 そうすると、債務者の主張する懲戒事由は、いずれも存在しないから、これらを理由になされた本件懲戒解雇は無効のものというべきである。 |