ID番号 | : | 05887 |
事件名 | : | 賃金等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | エス・ウント・エー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労基法三九条一項の出勤率の計算にあたっての「全労働日」の意義につき、一年の総暦日数のうち労働者が労働契約上労働義務を課せられている日数をいうとし、本件における祝日、土曜日、年末・年始の各休日は労働義務のない日であるから、「全労働日」には含まれないとされた事例。 法定年次休暇と法定外年次休暇のいずれに関しても、その権利の成立要件は旧就業規則によるべきものとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法39条1項 労働基準法39条2項 |
体系項目 | : | 年休(民事) / 年休の成立要件 / 出勤率 年休(民事) / 法定外年休 |
裁判年月日 | : | 1992年2月18日 |
裁判所名 | : | 最高三小 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (オ) 1860 |
裁判結果 | : | 上告棄却 |
出典 | : | 労経速報1461号3頁/労働判例609号12頁/金融商事909号40頁 |
審級関係 | : | 控訴審/05476/東京高/平 2. 9.26/平成1年(ネ)3341号 |
評釈論文 | : | 荒木尚志・ジュリスト1023号134~137頁1993年6月1日/名古道功・民商法雑誌108巻1号100~104頁1993年4月/和田肇・月刊法学教室144号112~113頁1992年9月 |
判決理由 | : | 〔年休-年休の成立要件-出勤率〕 〔年休-法定外年休〕 労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの。以下同じ。)三九条一項にいう全労働日とは、一年の総暦日数のうち労働者が労働契約上労働義務を課せられている日数をいうものと解すべきところ、これを同旨の見解に基づき、原審の適法に確定した事実関係の下において、上告会社の新就業規則に定める一般休暇日は労働者が労働義務を課せられていない日に当たり、したがって、同就業規則中、右の一般休暇日が全労働日に含まれるものとして年次有給休暇権の成立要件を定めている部分は同項に違反し無効であるとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。 同第三点について 原審の適法に確定した事実によれば、上告会社の就業規則は、年次有給休暇権の成立要件、年次有給休暇期間の賃金支払義務について、法定年次休暇と法定外年次休暇を区別せずに定めており、両者を同様に取り扱う趣旨であると認められる。また、使用者に対し年次有給休暇の期間について一定の賃金の支払を義務付けている労働基準法三九条四項の規定の趣旨からすれば、使用者は、年次休暇の取得日の属する期間に対応する賞与の計算上この日を欠勤として扱うことはできないものと解するのが相当である。したがって、右事実関係の下において、上告会社の新就業規則中、年次有給休暇権の成立要件を定める部分は無効であるから、法定年次休暇と法定外年次休暇のいずれに関しても、その権利の成立要件は旧就業規則によるべきものとした上、上告会社は、被上告人がその年次有給休暇権に基づき年次休暇を取得した第一審判決添付の未払賃金一覧表の年休権行使日欄記載の各日について、給与を支払わないものとし、また、賞与の支給に係る勤怠考課に当たりこれを欠勤として扱うことはできないとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。 |