ID番号 | : | 05902 |
事件名 | : | 損害てん補請求事件 |
いわゆる事件名 | : | |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労災保険法と自動車損害賠償保障法の調整につき、自賠法七二条所定の法定限度額を越える金額の給付金等が労災保険法に基づき支払われたときは、自賠法七二条による保障金請求権は発生しないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法7条 労働者災害補償保険法12条の8 自動車損害賠償保障法72条1項 自動車損害賠償保障法73条1項 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 労災保険と損害賠償 |
裁判年月日 | : | 1992年3月12日 |
裁判所名 | : | 仙台地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成3年 (ワ) 406 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | 訟務月報38巻8号1505頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-労災保険と損害賠償〕 1 仮に、本件傷害が、原告の主張のとおり、他の自動車の運行によって惹起されたものであるとして、前記の原告の本件後遺障害に照らすと、政府保障の填補限度額は二五〇〇万円となる(自賠法七二条一項前段、同法施行令〔昭和六〇年一月二二日政令第四号〕二〇条一項、二条二号へ)。 2 ところで、政府の保障事業は、自動車の保有者が明らかでないため保有者に対し責任追求をすることができないなどの保険の制度になじまない特殊の場合の被害者を救済するために、社会保障政策上の見地から特にとりあえず政府において損害賠償義務者に代わり損害の填補をするために設けられた制度である。右の保障事業制度目的に鑑みると、政府の保障事業による救済は、他の手段によっては救済を受けることができない交通事故の被害者に対し、最終的に最小限度の救済を与える趣旨のものであると解するのが相当である(最高裁昭和五四年一二月四日判決・民集三三巻七号七二三頁参照)。自賠法七三条一項が「被害者が、…労働者災害補償保険法…に基づいて前条第一項の規定による損害のてん補に相当する給付を受けるべき場合には、政府は、その給付に相当する金額の限度において、同項の規定による損害のてん補をしない。」と定めているのは、その趣旨を明らかにしたものというべく、したがって、たまたま他の手段によって右限度額以上の救済が与えられた場合には、その手段による損害の填補が精神的損害(慰謝料)を填補するものでないとしても、政府の保障事業の右目的は達成されたものといえ、右限度額以上の保障金請求権はもはや発生しないものと解せられる。 |