ID番号 | : | 05914 |
事件名 | : | 雇用関係存続確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 三浦学苑事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 私立高校の非常勤講師の雇用契約につき、初年度は非常勤講師の地位にあるが、次年度以降は専任教諭としての教育職員として適性において不相当であると認めるべき事由の存しないことを停止条件として専任教諭として雇用する旨の教育職員雇用契約であるとし、教育職員としての適性上不相当と認めるべき事由はないので、右停止条件が成就したとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法21条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 試用期間 / 法的性質 |
裁判年月日 | : | 1992年4月10日 |
裁判所名 | : | 横浜地横須賀支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和62年 (ワ) 87 |
裁判結果 | : | 認容(確定) |
出典 | : | タイムズ796号140頁/労働判例606号10頁/労経速報1480号9頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-試用期間-法的性質〕 ところで、初年度非常勤講師、次年度以降専任教諭とするA高校での雇用形態がどのような法律的意味をもつかを検討する。 以上認定の事実関係を前提として総合的に判断すると、次のとおり認められる。 被告が、新規教育職員を初年度非常勤講師、次年度以降専任教諭として雇用する場合、初年度の雇用条件は非常勤講師勤務規程(〈書証番号略〉)に、次年度以降のそれは専任教諭として前記就業規程(〈書証番号略〉)にそれぞれ従う。そして被告は、初年度の非常勤講師として勤務する一年間を、次年度以降専任教諭として引き続き就業させることが相当であるか否か、その適性を判断するための期間としても利用し、運用していた。この雇用形態は、規程上は明確なものではないが、この点において、前示した臨時的な教育職員としての性格で一貫した非常勤講師の場合とは画然とした相違点を示す。してみると、初年度非常勤講師、次年度以降専任教諭とする雇用形態は、必ずしも臨時的な教育職員としての性格で一貫した制度とはいえず、継続的雇用形態の実質を備えた変則的なものである。したがって、かかる雇用形態の法的性質は、初年度は非常勤講師の地位にあるが、次年度以降は専任教諭としての教育職員として適性において不相当であると認めるべき事由の存しないことを停止条件として専任教諭として雇用する旨の教育職員雇用契約であると解するのが相当である。 |