全 情 報

ID番号 05925
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 JR東日本(盛岡鉄道管理局)事件
争点
事案概要  非番日に酒気を帯びて職場に行き、助役に対して暴言と暴行行為を加えたことを理由とする懲戒解雇が有効とされた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
民法1条3項
体系項目 解雇(民事) / 解雇権の濫用
解雇(民事) / 解雇事由 / 暴力・暴行・暴言
裁判年月日 1992年5月19日
裁判所名 青森地
裁判形式 判決
事件番号 平成1年 (ワ) 39 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1464号23頁/労働判例612号30頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇権の濫用〕
〔解雇-解雇事由-暴力・暴行〕
 本件処分の事由となった原告の行為は、休日(非番)に酒気を帯びて職場に赴き、管理者に対して暴言と暴行行為を加え、二名を負傷させたというものであり、暴行の態様は執拗で、被害者らに傷害も負わせていることからすると、悪質というべきであり、また、管理者に対して暴言及び暴行行為が加えられたことは、企業秩序を乱すこと甚だしく、職場規律に反すること著しいものであるとともに、被告が企業理念の一つとしていた列車運行の安全の基幹である業務点呼を妨害したこと、原告は、職場を騒がせたことは認めてはいるが、本件暴行については否認し、十分な反省の態度が見られなかったこと、被害者である管理者らに落度はなかったこと、原告には被告設立後本件発生以前にも多数の非違行為歴があったことは、原告において職場規律に服し、管理者の指示命令に従い、企業秩序を遵守するという姿勢を欠いていることを示すものであることを総合考慮すれば、原告の責任は重大であり、懲戒解雇処分の選択に当たっては他の処分に比較して特に慎重な配慮を要するものであるとしても、被告が原告に対し懲戒解雇を選択して本件処分に及んだことは、誠にやむをえないことというべきであり、社会通念上合理性を欠くものということはできない。
 したがって、本件処分には、懲戒権の濫用があり、本件処分は無効であるとの原告の主張は理由がない。