全 情 報

ID番号 05942
事件名 賃金請求事件
いわゆる事件名 日ソ図書男女賃金差別事件
争点
事案概要  女子社員と入社時期および入社年齢が比較的近接している男子社員四名との賃金格差につき、年齢・勤続年数を同じくする男女間の賃金格差が合理的理由となりうるのは、その提供する労働の質および量に差がある場合に限られるとし、本件については女子であることのみを理由とするもので労基法四条に違反するとされ、不法行為による損害賠償の支払いが命ぜられた事例。
参照法条 労働基準法4条
民法709条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 男女同一賃金、同一労働同一賃金
裁判年月日 1992年8月27日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和63年 (ワ) 9505 
裁判結果 一部認容,一部棄却(確定)
出典 時報1433号3頁/タイムズ795号61頁/労働判例611号10頁/労経速報1472号9頁/法律新聞1071号6頁
審級関係
評釈論文 小宮文人・法学セミナー38巻7号70頁1993年7月/小西國友・日本労働法学会誌81号156~163頁1993年5月/諏訪康雄・月刊法学教室150号70~71頁1993年3月/浅倉むつ子・ジュリスト1017号66~69頁1993年2月15日/大沼洋一・平成4年度主要民事判例解説〔判例タイムズ821〕304~306頁1993年9月/渡辺章・ジュリスト1044号139~143頁1994年5月1日/内藤恵・平成4年度重要判例解説〔ジュリスト臨時増刊1024〕221~222頁1993年6月
判決理由 〔労基法の基本原則-男女同一賃金〕
 以上によれば、被告は、遅くとも昭和四七年一月頃以降、原告の基本給を本件男子社員四名の平均基本給までに是正すべきであったにもかかわらず、これを放置して適切な是正措置を講じなかったもので、その結果として、原告の基本給と本件男子社員四名の基本給との間に格差が生じたことが認められるから、原告が主張する昭和五七年度以降の本件賃金格差は、原告が女子であることのみを理由としたものか又は原告が共稼ぎであって家計の主たる維持者でないことを理由としたもので、一か月当たりの賃金格差の金額も決して少なくないことを加味すれば、労働基準法四条に違反する違法な賃金差別というほかはなく、しかも、適切な是正措置を講じなかったことについて被告に過失のあることは免れないから、不法行為に当たると解するのが相当であり、したがって、原告は、被告に対して、右賃金差別と相当因果関係に立つ損害の賠償を請求し得るものというべきである。