ID番号 | : | 05964 |
事件名 | : | 建物明渡等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | JR東日本(建物明渡し等請求)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 日本国有鉄道の宿舎または寮を利用する法律関係につき、賃貸借契約関係ではなく、国鉄公舎基準規程の規律をうける特殊な法律関係に基づく利用権が認められたものとし、東日本旅客鉄道株式会社による明渡請求が認められた事例。 |
参照法条 | : | 民法601条 |
体系項目 | : | 寄宿舎・社宅(民事) / 社宅の使用関係 |
裁判年月日 | : | 1991年12月19日 |
裁判所名 | : | 千葉地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (ワ) 1 |
裁判結果 | : | 認容(控訴) |
出典 | : | タイムズ785号188頁/労働判例604号31頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 水野有子・平成4年度主要民事判例解説〔判例タイムズ821〕58~59頁1993年9月 |
判決理由 | : | 〔寄宿舎・社宅-社宅の使用関係〕 以上に確定した事実によれば、本件各宿舎は、被告らが入居した当時、国鉄が所有しかつ管理する宿舎又は寮であったことを推認することができ、〈書証番号略〉及び弁論の全趣旨を総合すると、国鉄の宿舎は職員等(役員及び職員に限る。)及び主としてその収入により生計を維持する者の居住に当てられ、また、寮は単身の職員等の共同居住に当てられる厚生施設であって、右宿舎及び寮に居住させる者の指定は局所長(国鉄の職員局長、北海道・九州各総局長(本局所管区域に係るものに限る。)、四国総局及び鉄道管理局長(東京北・東京西各鉄道管理局長を除く。))が行い、宿舎及び寮への居住の指定を受けた者が支払う所定の使用料金を一般人が右宿舎及び寮と同一の立地条件にある同一の構造、規模、設備等で同一の程度の建物を賃借する場合における賃料と対比すると、右使用料金は右賃料の数分の一であることを認めることができ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。 右の事実によれば、被告らが支払う本件各宿舎の使用料金は、本件各宿舎の使用・収益の対価である賃料ではなく、公共企業体である国鉄の職員等及び主としてその収入により生計を維持する者として国鉄が所有しかつ管理する厚生施設を利用する料金に過ぎないというべきであるから、被告らが本件各宿舎を利用する法律関係をもって賃貸借とすることはできないといわなければならない。 したがって、被告らの右主張は理由がないものである。 公舎基準規程に基づく利用権について 以上に確定した事実によれば、別表一の「番号」欄各号の「被告」欄に掲げる被告は、それぞれ、国鉄の公舎基準規程に基づいて、千葉局長から、当該各号の「建物」欄に掲げる建物への居住の指定を受け、被告Y1において昭和四九年九月七日ごろに使用料金一か月三八四〇円で、被告Y2において同年一〇月四日ごろに使用料金一か月七八三〇円で、被告Y3において同年九月一七日ごろに使用料金一か月三八七〇円で、被告Y4において同年一二月一八日ごろに使用料金一か月七八三〇円で、被告Y5において同五二年四月二四日ごろに使用料金一か月六六四〇円で、被告Y6において同五八年四月一日ごろに使用料金一か月一万八九五〇円で、被告Y7において同年一二月一日ごろに使用料金一か月一万二四四〇円で、被告Y8において同五一年一月二一日ごろに使用料金一か月一三八〇円で、被告Y9において同五三年四月一日ごろに使用料金一か月一三八〇円で入居したことを認めることができる。右の事実によれば、被告らは、本件各宿舎について公舎基準規程の規律を受ける特殊な法律関係に基づく利用権を取得したというべきである。 |