ID番号 | : | 06008 |
事件名 | : | 原処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 名瀬労基署長(村上建設)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 建設作業員の作業中の急性心不全による死亡につき、業務災害に当たらないとした労基署長の不支給処分が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法施行規則別表1の2第9号 労働者災害補償保険法12条の8 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等 |
裁判年月日 | : | 1992年7月20日 |
裁判所名 | : | 鹿児島地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (行ウ) 5 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例621号66頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕 Aは、本件事故時まで、格別の問題もなく、通常の作業に従事してきており、本件事故前の五月ころ実施された健康診断においても何らの異常も発見されていない健康体であった。 ところで、業務起因性については、業務と疾病との間に相当因果関係が必要であり、相当因果関係は、作業の内容、性質、作業環境、作業に従事した期間、発症の経緯等諸般の事情から総合的に判断され、その立証は、経験則に照らして全証拠を総合検討し、事実と結果との間に高度の蓋然性があることが証明されれば足り、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし、かつ、それで足ると解すべきである。 これを本件についてみるに、なるほど、Aは、本件事故直前、妻である原告に対し、疲労を訴え、夕食もとらずに就寝したことがあるなど疲労していたことが認められる(〈証拠略〉)が、右1ないし5の事実によれば、その程度は、健康に重大な影響を与えるようなものではなく、右疲労と急性心不全による死亡との間に相当因果関係が存在したと認めるに足りるものではない。また、右認定のとおり本件作業が特に過重であったとはいえないから、Aの死因はいわゆる過労死とはいえず、Aの死亡と業務との間に相当因果関係があるとはいえない。 |