ID番号 | : | 06019 |
事件名 | : | 地位保全・金員支払仮処分命令申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 大和倉庫事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 他の従業員との協調性に欠け、摩擦・衝突が絶えないこと等を理由として解雇された駐車場従業員がその無効を主張して地位保全等を申し立てた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 協調性の欠如 |
裁判年月日 | : | 1992年9月8日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成4年 (ヨ) 1690 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例619号61頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-協調性の欠如〕 債権者と他の従業員との対立は、他の従業員が債権者の人格態度に対する漠然とした嫌悪感情を抱いているにとどまり、それ以上に、債権者が他の従業員に対し、具体的な加害行為に及んだり、他の従業員との間に重大な紛争を生じ、あるいは債権者と他の従業員との感情的な対立により債務者の駐車場業務の遂行に現実に著しい支障をきたした事実は認められないし、かつ、債務者の業務は、駐車場に出入りする車両の監視・誘導と料金徴収という比較的単純な作業を主体とするものであって、従業員間の緊密な協調がなければ業務遂行が不可能となる類のものとも認められない。また、債権者が、債務者の具体的業務命令に違反した事実を認めるに足る疎明もない。 他方、雇用者たる債務者としては、債権者と従業員との間に右のような感情的対立が存在し、これがため債務者の業務遂行に支障をきたすおそれがあることを認知した場合には、債権者及び他の従業員に対し、適宜、指導・注意等を加えることにより、これを未然に防止し、解雇という重大な事態に陥ることを可能な限り回避すべき立場にあると解すべきところ、債務者は、債権者の前記井上に対する態度について、その翌日に債権者に対し注意を与えた事実は認められるものの、それ以上に、債権者の債務者代表者やその他従業員に対する態度を改善するよう注意等を与え、あるいは債権者とその他従業員との人間関係の調整・修復を図って努力した形跡は窺われない。 右の事情を勘案すると、未だ、債権者の性格的欠点が債務者の業務遂行に著しい支障をきたし、また、債務者の努力によっても債権者の欠点を矯正することができず、従業員間の人間関係が修復不可能であるため、債権者を解雇することが真に止むを得ないものとまで言うには尚早というべきであり、現段階では、本件解雇は、解雇権の濫用にあたるものとして許されないと言わざるを得ない。 |