全 情 報

ID番号 06063
事件名 労働災害保険認定棄却処分取消請求事件
いわゆる事件名 新発田労基署長(新和コンクリート工業)事件
争点
事案概要  自己の所有するクレーン付きトラックを用いてコンクリート製品の運搬に従事していて者がその職務に従事中に事故により死亡したことに関連して、右の者が労災保険の適用される労働者か否かが争われた事例。
参照法条 労働者災害補償保険法1条
労働基準法9条
体系項目 労災補償・労災保険 / 労災保険の適用 / 労働者
裁判年月日 1992年12月22日
裁判所名 新潟地
裁判形式 判決
事件番号 平成2年 (行ウ) 2 
裁判結果 認容・確定
出典 タイムズ820号205頁/訟務月報39巻10号2020頁/労働判例629号117頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-労災保険の適用-労働者〕
 一 労災保険法の適用を受ける労働者とは、労働基準法に規定されている労働者と同意義であって、使用者に対する使用従属関係の下に労務を提供しその対償として使用者から報酬の支払を受けている者であると解され、労災保険が事業者から徴収する保険料を源資として業務上の事由等による労働者の負傷等に対する保護を図る制度であることに鑑みても、右解釈は支持されるべきである。
 右の使用従属関係は、労働者とされる者が使用者とされる者の指揮監督下において労働していると認められる場合にその存在が肯定されるが、指揮監督下における労働であるかどうかは、業務を遂行するに当たっての指揮監督の有無、業務従事の指示に対する諾否の自由の有無、時間的及び場所的拘束性の有無などの諸点を検討し、かつ、労働に従事する者における事業者性の有無をも考慮して、総合的に判断すべきである。〔中略〕
 以上の事実を総合すると、【判示事項】「代車」は、訴外会社との関係において、運搬業務を遂行するに当たって相当程度の指揮監督を受けるとともに、運搬業務従事の指示に対する諾否の自由をほぼ完全に制限されており、かつ、事業者性を有しないと解されるので、訴外会社の指揮監督下において労働していると認められる。したがって、「代車」は使用者たる訴外会社に対する使用従属関係の下に労務を提供し、その対償として訴外会社から報酬の支払を受けている者といえるから、労災保険法の適用を受ける労働者に該当すると判断するのが相当である。
 そして、栄則も、他の「代車」と全く同じ形態で訴外会社の運搬業務に従事していたことは当事者間に争いがないから、同人は、労災保険法の適用を受ける労働者に該当すると認められる。