ID番号 | : | 06071 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 大申興業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 市の委託でし尿の収集運搬を業務とする会社に雇われていた労働者が、業務量の減少、経営状態の悪化を理由として解雇されたことにつき、右解雇は労働者の組合加入を嫌い同人を排除するためのもので無効であるとして地位保全等を申し立てた事例。 |
参照法条 | : | 民法1条3項 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇権の濫用 |
裁判年月日 | : | 1993年2月9日 |
裁判所名 | : | 横浜地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成4年 (ヨ) 1095 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例628号61頁/労経速報1501号3頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇権の濫用〕 一 債務者の各営業年度の決算書に次期繰越損失として債務者主張の額が記載されていることは認められるが(〈証拠略〉)、債務者は、そのこと以上に、債務者の経営の実態や損失を生じた原因については、何の疎明もしないから、なぜ損失があれば債権者を解雇する必要があるのか全く明らかでない。かえって、横浜市からの委託料が、バキュームカーの台数に応じた必要経費を見込んで算定されていることや、債務者が、債権者の解雇による欠員を新たに採用する従業員で補充していること(〈証拠略〉)からすると、債権者を解雇したからといって経営状態が改善されるものではなく、債務者の損失と債権者を解雇することとは、何の関係もないと思われる。したがって、繰越損失があることだけでは、就業規則の右定めに該当するということはできない。 また、債務者は、将来減車する際の人員整理に伴う労使紛争を回避するために、債権者を解雇する必要があると主張するが、そのような事由が就業規則の右定めに該当しないことは明らかであり、むしろ、前記の休憩室におけるA会長の言動その他債権者の地連加入から本件解雇に至る経緯に徴すると、債務者は、債権者が地連に加入したことを嫌悪して解雇したものというべきである。 そうすると、本件解雇は、解雇理由がないのになされたものであるから、解雇権を濫用するものとして無効であり、また、債権者が地連に加入したことを嫌悪してなされたものであるから、不当労働行為にあたるものとしてこの点からも無効というべきである。 |