ID番号 | : | 06072 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 東京ピーシー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 実兄の経営する会社に取締役兼従業員として勤務していた者が取引先からのリベート着服を理由として合意に基づき退職したとされた後、右合意の存在を否定して地位保全の仮処分を申し立てた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 退職 / 合意解約 |
裁判年月日 | : | 1993年2月10日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成4年 (ヨ) 2281 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労経速報1485号21頁/労働判例633号78頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職-合意解約〕 債権者は、本件退職合意について書面が作成、提出されていないことを本件退職合意の不存在を裏付けるものであると主張する。しかし、右二で認定したとおり、債権者は債務者会社に対し多岐にわたる退職条件を求めていることに鑑みると、債権者は、本件退職合意が存在するにもかかわらず、退職条件について有利に交渉を進めるために、本件退職合意が口頭でされたものであることをよいことに、態度を翻して合意の存在を否定し、退職届に署名をしなかったものである、との見方も十分可能なのであって、退職合意について書面が存在しないことは、本件退職合意が存在すると認定するについて妨げとならないというべきである。 2 債権者の反論2について 債権者は、退職金の支払や根抵当権の解除について合意ができていないことは本件退職合意が存在しないことの裏付けであると主張する。しかし、債務者会社の主張するような突発的な経緯で退職の合意がされた場合には、退職の条件が整わない間に退職合意がされるのがむしろ通常であるし、右二で認定のとおり、債務者会社は、四月二二日に債権者へ郵送した書面において、根抵当権は六月末日までに解除する、退職金として八〇〇万円(この金額は債務者会社の退職金規定(〈証拠略〉)に照らして相当な額と認められる。)を支払う旨述べており、交渉態度に特に不誠実な点はみられないのであって、退職条件について合意に至っていないのは、本件退職合意が存在しないからではなく、むしろ債権者の要求が過大であるためとも思われる。したがって、債権者の右主張は採用できない。 |