ID番号 | : | 06080 |
事件名 | : | 地位保全金員支払仮処分命令申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 大同生命保険相互会社事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 顧客からの預り金を会社に入金せず、着服したとしてなされた保険外交員の懲戒解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為 |
裁判年月日 | : | 1993年8月2日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成5年 (ヨ) 62 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労経速報1506号13頁/労働判例646号73頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕 以上の各事実を総合すれば、債権者がAに一時的に預かった金員を返却したとの可能性を完全に否定し尽くすことはできないけれども、債権者が返却したことを裏付ける適格な資料は存在しないのみならず、返却したとの主張には数々の拭い難い不自然さが残るのであって(受取証の発見経緯、Aの資金の必要性、発覚後の言動等)、債権者が、前記各日にAに対し金員を返却していないと認めるのが相当といわざるをえない。 したがって、懲戒事由である「正当な理由なく保険料、保険料充当金の入金を遅延したとき、またはこれらを着服、流用したとき」に準ずる場合に該当するということができる。 三 解雇手続について 解雇に至る経緯は前示のとおりであって、解雇の意思表示に具体的な解雇事由が明記されていなかったことは債権者所論のとおりであるけれども、解雇に至る交渉経過に鑑みれば、債権者は処分の対象となる事由を十分に熟知していたということができ、濡衣を晴らすための前提となる嫌疑の内容を知らなかったとは到底いえないから、これをもって解雇が無効であるとすることはできない。 |