ID番号 | : | 06086 |
事件名 | : | 遺族年金等不支給処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 名古屋北労基署長(大東運送)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 退勤途中の自動車事故による死亡につき、その原因は衝突前に発症した脳内出血によるものとして、通勤災害にあたらないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法7条1項2号 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 通勤災害 |
裁判年月日 | : | 1987年3月9日 |
裁判所名 | : | 名古屋地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和60年 (行ウ) 5 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例510号84頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-通勤災害〕 一 「右に認定した本件事故の発生状況や、診断、調査に関与した各医師の所見を総合して考えると、本件災害が、亡Aが退勤のため運転中にマンションに衝突したことによって発生したとは到底認められない。即ち、亡Aは自動車による退勤の途中、同人の有していた何らかの体質的素因に基づいて脳内出血を発症し、このため意識もうろうないしは喪失して運転不能の状態に陥り、マンションの建物に衝突したものというべく、この衝突による自動車への衝撃は決して軽微とはいえないものの、亡Aの身体への衝撃はそれ程ではなく、これにより二次的出血をきたしてはいないのであって、結局既に致命的状態に近かった同人の死亡時期を若干早めたかもしれない可能性迄否定しきれないとしても、この衝突それ自体を死亡への有力因子とみることはできないところである。従って、亡Aの死因は自動車運転中に発症した脳内出血であると結論せざるをえない。 しかるところ、労働者災害補償保険法七条一項二号に規定する通勤災害とは、被告の主張するとおり、当該災害が通常の出退勤に内在する危険の現実化したものでなければならず、本件のように、亡Aの体質的素因に基因して脳内出血が発症し、退勤の途次であったことが右傷病の『機会原因』に過ぎない場合は通勤災害にはあたらないと解するのが相当である。」 |