ID番号 | : | 06097 |
事件名 | : | 懲戒処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 全進香取支部事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 公労法一七条違反を理由とする減給処分につき、懲戒権の濫用もなく適法とされた事例。 |
参照法条 | : | 公共企業体等労働関係法17条 国家公務員法82条 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1987年8月26日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和52年 (行ウ) 282 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例504号54頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕 (六) 一一・一九スト及び一二・一ストの参加について 原告が一一・一九スト及び一二・一ストに参加したことは当事者間に争いがなく、右各行為が公労法一七条一項の規定に違反することはいうをまたない。 3 原告の右(一)ないし(四)の各行為が国公法九九条に、右(六)の行為が国公法九八条一項、九九条、一〇一条一項前段にそれぞれ違反することは明らかである。 4 したがって、原告には国公法八二条各号に定める懲戒事由があるということになる。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕 四 懲戒権の濫用について 公務員につき、懲戒事由の存在が認められる場合に、懲戒処分を行うかどうか、また、懲戒処分のうちいずれの処分を選択するかは、その処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量の範囲を超えるものと認められるものでない限り、懲戒権者の裁量に委ねられているものと解すべきところ、前記二及び三に認定した一一・一九スト及び一二・一ストの目的、一一・一九ストにおいて原告の果たした役割、同ストによる業務阻害の状況等に鑑みれば、六か月間俸給の月額の一〇分の一の減給を内容とする本件懲戒処分は、重きに失するものとはいい難い。 もっとも(証拠略)によれば、本件懲戒処分のされた昭和五一年三月一六日に、郵政省は昭和四九年春期闘争から昭和五〇年秋期闘争までの争議行為に関し、一六万九四〇六名の職員を懲戒処分及び訓告処分に付したところ、千葉地区本部傘下の組合員については三五一一名が処分されたが、そのうち減給処分は一一名、戒告処分は三名にすぎず、他の三四九七名は訓告処分にとどまっていることが認められるが、同証拠によれば、右戒告以上の処分者は支部役員、分会長等の役職名で、争議行為に主導的役割を果たしたものであることが認められ、一一・一九スト及び一二・一スト当時原告は香取支部の支部長であったこと、原告が一一・一九ストで果たした前記の役割等に照らせば、本件懲戒処分が他の者との均衡を欠いたものであるともいえず、本件懲戒処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量の範囲を超えるものと認めることはできない。 また、被告が処分事由として主張する事実のうち、一一・一九ストに関連して、原告が佐原分会の組合員の家庭訪問説得オルグに参加したこと及び原告がAに対してストライキ参加を説得したことの二点については、前記のようにその事実の存在を認めることはできなかったのであるけれども、右の二つの事実の本件処分事由該当事実において占める重要性の程度、これを除いたその余の処分事由該当事実の内容を考慮すれば、右の二つの事実の存在が認められなかったからといって、本件懲戒処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量の範囲を超えるものと認めることはできない。 したがって、本件懲戒処分が懲戒権の濫用であるとする原告の主張は採用できない。 |