ID番号 | : | 06100 |
事件名 | : | 債権仮差押異議事件 |
いわゆる事件名 | : | 大隈鐡工所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 使用者が有する損害賠償請求権にもとづき労働者の賃金債権を差押えることは労基法二四条一項に違反しないが、民事執行法一五二条の適用があり基準内賃金の四分の三が限度となるとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法24条1項 民事執行法152条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 全額払・相殺 |
裁判年月日 | : | 1987年12月9日 |
裁判所名 | : | 名古屋高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和62年 (ウ) 305 |
裁判結果 | : | 一部認可 |
出典 | : | 時報1266号119頁/労働判例511号59頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 竹内浩史・労働法律旬報1192号82頁1988年5月25日 |
判決理由 | : | 〔賃金-賃金の支払い原則-全額払〕 二 債務者は、本件債権仮差押申請は、労働基準法二四条一項に違反し許されない旨主張する。確かに同条項が「労働者の賃金債権に対しては、使用者は労働者に対して有する反対債権(債務不履行又は不法行為による損害賠償請求権を含む)をもって相殺することを許されない」との趣旨をも含むものと解すべきことは、債務者主張のとおりである。しかし、同条項は、労働者に対し反対債権をもつ使用者が、債権者として労働者の有する賃金債権(債務者の自己に対する債権ではあるが)を差押(仮差押)することまで禁じたものとは解し難く、債務者の右主張は採用できない。けだし、一般に労働者に債権を有する債権者が、債務者たる労働者の賃金債権を差押(仮差押)することは(民執法一五二条、一八七条の制約はあるにしても)差支えないのであるから、均しく債権者でありながら、偶々使用者である故のみをもってこれを許さないとするいわれはないというべきであるからである。 |