ID番号 | : | 06107 |
事件名 | : | 裁決等取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 地公災基金群馬県支部長(太田警察署)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 公務災害に関し「治癒」と認定された者による再発の申請を却けた地公災支部長の処分が適法とされた事例。 |
参照法条 | : | 地方公務員災害補償法29条1項 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 療養補償(給付) |
裁判年月日 | : | 1989年9月28日 |
裁判所名 | : | 前橋地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和62年 (行ウ) 2 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | タイムズ732号229頁/労働判例571号46頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-療養補償(給付)〕 2 ところで、頚肩腕症候群、頚椎症、外傷性頭頚部症候群などの病名で総称されている、追突等による鞭打ち機転によって頭頚部に損傷を受けた患者が示す症状は、身体的原因によって起こるばかりでなく、外傷を受けたという体験によりさまざまな精神症状を示し、患者の性格、家庭的、社会的、経済的条件、医師の言動等によっても影響を受け、ことに交通事故や労働災害事故等に遭遇した場合に、その事故の責任が他人にあり損害賠償の請求をする権利があるときには、加害者に対する不満等が原因となって症状をますます複雑にし、治癒を遷延させる例も多く、衝撃の程度が軽度で損傷が頚部軟部組織(筋肉、靭帯、自律神経など)にとどまっている場合には、入院安静を要するとしても長期間にわたる必要はなく、その後は多少の自覚症状があっても日常生活に復帰させたうえ適切な治療を施せば、ほとんど一か月以内、長くても二、三か月以内に通常の生活に戻ることができるのが一般であることは、当裁判所に顕著な事実である。 3 そこで、上記二に認定した事実に、右当裁判所に顕著な事実を総合して考察すると、原告は、本件事故により頭頚部外傷(頚椎捻挫)の傷害を受け、その症状を呈するに至ったが、更に、多数の医療機関を歴訪していることに象徴される不安を感じやすい性格と自己の病状に対する職場の対応への不満などさまざまな心的要因により、遅くとも昭和五四年五月頃には神経症ないし心身症を引き起こし、その後、その症状が固定化したものと認めるのが相当である。 |