ID番号 | : | 06128 |
事件名 | : | 賃金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 五島育英会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 私立中・高の養護職員が校外学習に引率出張した場合、帰着翌日を休日とする慣行は成立していないとし、校長の業務命令があったときは出校しなければならないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法92条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 業務命令 |
裁判年月日 | : | 1993年3月19日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和63年 (ワ) 16918 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報1497号18頁/労働判例629号78頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-業務命令〕 2 本件措置の意味について 教育公務員について、授業に支障のない限り校長の承認を受けて勤務場所を離れて研修を行うことができるとの教育公務員特例法二〇条二項に基づき、生徒の休業日につき自宅研修日が認められていることから、学園においても、教育公務員の例に倣い、生徒休業期間及び学年末考査後の自宅採点日を、教諭の自宅研修日として認める扱いをしてきた(基礎となる事実関係2)。この自宅研修日は、生徒休業日が教諭の勤務日とは本来係わりがないことからすれば、休日、休暇等に当たる場合を除いては、いつもの通り勤務するのが建前であり、教諭の自主的な研修を奨励するため、授業に支障のない限り校長の承認を受けて、出校を要しないとする扱いを受け得るにすぎないものと解される。そして、教諭について中学校修学旅行の帰着翌日の出校を要しないとする扱いについても、帰着翌日が参加生徒の家庭学習日とされ、引率教諭も概して授業や生徒指導の必要がないことから、校長の承認に基づく自宅研修日として認められてきたものということができ、(〈人証略〉)、このことは、帰着翌日に授業等を受け持つ教諭が出校して勤務した例が多数あり、出校して勤務しても通常出勤として扱われること(〈人証略〉)、また、生徒を引率しない通常の出張の場合には出張帰着翌日は勤務を要する日とされていること(〈人証略〉)によっても裏付けられるところである。 したがって、校長は昭和五三年度中学校修学旅行の際に原告の申し出を受けて教諭と同様の扱いを認めたが、校長に職員の休日を定める権限がないことは前記のとおりであり、教諭の場合でも校長の承認に基づく自宅研修日として勤務を要しない扱いが認められているにとどまることからすれば、校長の原告に対する本件措置は、校長の権限により帰着翌日を自宅勤務として出校を要しないとする扱いを認めたにすぎないものというべきである(右権限が校長にあることは、被告が自認するところである。)そして、本件措置が右のようなものであるとすると、昭和五三年以降校長が右扱いを包括的又は黙示的に容認してきたとしても、校長の業務命令により出校を命じられた場合には、原告は、帰着翌日に出校しなければならないものということができる。 |