ID番号 | : | 06132 |
事件名 | : | 給料等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 高橋商運事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 歩合給の労働者につき、時間外労働が必然的に伴うことを知って雇用契約を締結したとしても、時間外割増賃金請求権を失うものではないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法37条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 割増賃金 / 支払い義務 |
裁判年月日 | : | 1993年3月23日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和63年 (ワ) 15376 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例634号69頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-割増賃金-支払い義務〕 1 被告の事業は労働基準法八条四号所定の道路による貨物の運送の事業に当たるので、原告の労働時間については同法三二条二項の適用があり、いわゆる八時間労働制に服することになる。労働基準法三七条は、割増賃金の支払いを使用者に義務付けることによって、同法の規定する労働時間の原則の維持を図るとともに、過重な労働に対する労働者への補償を行おうとするものであり、歩合給制をとった場合であっても、また、その定額最低保障をした場合であっても、労働基準法三七条の適用を免れ得ないことはいうまでもない。被告が、原告採用面接の際の事情に基づいて主張する点についてみるに、原告が時間外労働が必然的に伴うことを知って被告と雇用契約を締結したとしても、時間外割増賃金請求権を失うものではないことはいうまでもない。また、時間外割増賃金の算定が煩瑣であるからといって被告においてその支払義務を免れることができないことも多言を要しない。仮に、被告の主張が、原被告間の労働契約において歩合給率を決定するに際し、時間外賃金を込みとする特段の合意をしたというものであったとしても、かかる合意の有効性について論ずるまでもなく、本件においては、右のような合意がなされたことを認めるに足りる証拠はない。 |