ID番号 | : | 06139 |
事件名 | : | 雇用関係確認等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 葵交通事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 乗車拒否を理由とするタクシー運転手に対する解雇が有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度 |
裁判年月日 | : | 1993年4月20日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成3年 (ネ) 1456 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報1493号3頁/労働判例644号45頁 |
審級関係 | : | 一審/05756/東京地/平 3. 4. 5/昭和63年(ワ)17384号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕 一般の乗客がタクシー運転手に対して行き先を告げて乗車を申し込んだところ、運転手から単に行く先は知らないといわれた場合、乗客のなかには、運転手が運行を嫌がっていると疑心暗鬼になり、また、行き先を一々運転手に指示することの煩わしさ等から、乗車を諦めるという事態も起りうること、一方、タクシー運転手のなかには、時には、乗客の右心理を悪用して行き先が分からないと答えることにより、外形的には乗客に自ら乗車を断念させる形をとりつつ、結果的には事実上乗車拒否を実現するという悪習を招来する可能性もあること等を合わせ考えると、たとえ運転手が行き先を知らないため当該運転手自身には明確な乗車拒否の意思はないとしても、乗客からの乗車申込みに対し、単に行く先が分からないと答えることにより、乗客に乗車を断念させたときは、行為の全体的評価として、職業運転手としてなすべき職務上の義務に著しく違反し、ひいては正当の理由のない運送引受義務の拒絶に該当するものと解するのが相当である。故意がなければ乗車拒否に当たらないという控訴人の主張は右に説示したとおり採用することができない。 |