全 情 報

ID番号 06142
事件名 退職金等請求事件
いわゆる事件名 東京コムネット事件
争点
事案概要  子会社に移籍した従業員の退職金について、親会社と子会社が従業員の在籍期間の割合に応じて支払う旨の取り決めをしており、子会社が通算勤続年数にもとづく退職金を支払う義務を負うものではないとされた事例。
参照法条 労働基準法89条1項3の2号
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 出向中の労働関係
賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算
裁判年月日 1993年5月14日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成4年 (ワ) 17962 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例634号44頁/労経速報1506号3頁
審級関係
評釈論文 清正寛・法律時報66巻8号98~101頁1994年7月
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣-出向中の労働関係〕
〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕
 A労連B労働組合との間で、グループ間のすべての在籍年数を加算し、各社の在籍年数分を各社が支払う旨の合意をしたが、通常従業員に対し一律に取り扱われる退職金に関し、その支払についてのみ組合員と非組合員を異なる扱いにしたとは考え難いから、非組合員である移籍者の退職金についても組合員と同様の扱いが取り決められたとみるのが合理的であること、移籍者の退職金支払についての被告会社の実際上の扱いに加えて、原告Xは、退職金算定の基礎となる勤続年数を通算勤続年数とするとの説明を受けたことについて明確に供述しているものの、Bと被告会社がどのように退職金の支払義務を負担するかについては曖昧な供述をするにとどまっていることに照らせば、被告の主張するとおり、Bと設立中の被告会社は、退職金に関する移籍条件として、退職金算定の基礎となる勤続年数を両社の通算勤続年数とするが、その支払については各社が在籍期間の比により支払う旨の取決めをしたものと認めるのが相当であり、この認定に反する原告らの前記主張は採用することができない。