ID番号 | : | 06144 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 福井鉄道事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 思想・信条を理由に人事考課において差別的取扱いがあるとして、差別賃金の支払いが命ぜられた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3条 日本国憲法14条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金請求権と考課査定・昇給昇格・降格・賃金の減額 |
裁判年月日 | : | 1993年5月25日 |
裁判所名 | : | 福井地武生支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和63年 (ワ) 4 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例634号35頁/労経速報1512号3頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 青野覚・季刊労働法171号156~159頁1994年7月/藤内和公・民商法雑誌110巻2号382~390頁1994年5月 |
判決理由 | : | 〔賃金-賃金請求権と考課査定・昇給昇格・賃金の減額〕 本件は、原告らが、人事考課において思想・信条による不当な差別的扱いを受けたことを理由として、賃金差額分の損害賠償を請求するものであるから、原告らは、勤務成績が平均的従業員と同等であったにもかかわらず、不当な差別的扱いを受けたことを個別的に立証する必要がある。しかし、人事考課は、その性質上使用者の裁量に属しており、かつ様々な要素を考慮して相対的かつ総合的に評価するものであって、従業員である原告らが被告の人事考課全体を把握することは事実上困難であることを考慮すると、原告らが勤務成績が平均的従業員と同等であったにもかかわらず、不当な差別的扱いを受けたことを直接立証することはほとんど不可能である。 そこで、この判断方法としては、原告らの人事考課が同職種の平均的従業員と比べて低位であること、被告が原告らの思想・信条を嫌悪し差別意思を有していることが認められれば、原告らが思想・信条による不当な差別的扱いを受けていると一応推認し、次に、原告らに低い人事考課をしたことについて使用者の裁量を逸脱していない合理的事由が認められるかどうかを検討し、そのような合理的事由が認められなければ、原告らの勤務成績が平均的従業員と同等であったにもかかわらず、不当な差別的扱いを受けたと認定すべきである。 |