ID番号 | : | 06158 |
事件名 | : | 妨害排除等仮処分申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 長崎総合科学大学事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 満六三歳を大学教員の定年とすることに合理性があるとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項4号 |
体系項目 | : | 退職 / 定年・再雇用 |
裁判年月日 | : | 1993年7月28日 |
裁判所名 | : | 長崎地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成5年 (ヨ) 32 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労経速報1507号32頁/労働判例637号11頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職-定年・再雇用〕 定年制の下における定年後の再採用は、従前の雇用契約が合理的理由の下に終了した後、新たな契約を締結するものであるから、その使用者は再採用するかどうかを任意に決定しうるのが原則である。ところで、定年制は、一般労働者については、加齢により労働能力が次第に減少する反面、給与は増大することから、人事の刷新、経営の改善等企業の組織及び運営の適正化を円滑に行うためのものであって、合理性が認められるところ、大学教授についても、国公立大学の教授について、教育公務員特例法八条二項に定年制が定められているように、特に定員の限られた地位につき、いわば「後進に道を譲る。」意味で強制退職年齢を定めたものとして、やはり合理性が認められる。右のような定年制の趣旨のほかに、私立大学では定年制に関する関係制度諸規定の定立が各大学に委ねられているところ、債務者の定年制規程等においては、教育公務員特例法四条二項や一〇条のように、教授会の構成員の意思を重要視するような表現になっていないこと、債務者の定年制規程三条及び取扱規程五条において、前記任用規程と異なり、定年後の再採用の場合に限り、理事長ないし常務理事会に「別段の取扱い」をする余地を認めたこと等を総合して考えると、定年退職後再採用するか否かは、使用者である債務者が、学校運営上特に必要があると認められるかどうかによって決することができるというべきである。 |