ID番号 | : | 06172 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申立事件 |
いわゆる事件名 | : | クリンパル事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 指示命令違反、勤務態度不良などを理由とする懲戒解雇が有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1993年11月19日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成5年 (ヨ) 2356 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労経速報1513号5頁/労働判例646号46頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 二 まず、債務者は、本件解雇の理由として、債権者の勤務状況が規則三九条二項二号の「就業状態又は能率が著しく不良で就業に適さないとき」に該当することを主張するが、就業規則上、三五条二項五号の制裁の性格を持つ解雇と三九条の制裁としての性格を持たない特例解雇が別々に規定され、債務者の債権者に対する解雇通告書の記載によれば、本件解雇は、前者の解雇であることが明らかに認められるから、右事由は、制裁事由を定めた規則三四条二項各号所定の事由に該当すると認められる場合はともかくとして、本件解雇の理由そのものにはなり得ないものと一応解される。 そこで、前記一で一応認定に係る事実に基づいて、債権者の行為が規則三四条二項各号所定の制裁事由に該当するか否かについてみると、債権者の1ないし3の行為は、二号の「業務上の命令指示に従わなかったとき」に該当するものと一応認められる。また、債権者の4の行為は、債権者の職務上の怠慢によるものであって、債務者代表者の指示にあえて違背した行為ではないから、二号そのものには該当しないが、債務者が会社の将来を左右するものとして重点的に営業活動を行っていた契約案件において、債権者が債務者代表者の指示を受けながら見積書を提出しなかった落度は重大であり、債務者がその対応に追われるなど現実に大きな業務遂行上の支障をも与えたものであるから、仮に債務者が指名を得られなかったことが債権者の見積書の不提出と無関係であったとしても、二号に準じるものとして、一四号の「その他、前各号に準じた不都合な行為をしたとき」に該当するものと一応認められる。 なお、債務者が右の行為以外で二号又は一四号の制裁事由に該当すると主張する各行為は、具体的な業務命令の不存在、業務命令違反の積極的態度の不存在などの理由により、右各号のいずれにも該当しないものというべきである。また、債務者は、債権者の遅刻及び直帰行為が三号の「正当な事由なく無断欠勤、遅刻、早退、外出し、業務に熱心でないとき」に該当すると主張するが、遅刻行為については遅刻回数及び遅刻時間の程度に加え、債務者代表者も債権者の遅刻行為については一度も注意することがなかったから、「業務に熱心でないとき」に当たるとまではいえないこと、直帰行為については既に解決ずみの過去の問題であることから、債権者の遅刻及び直帰行為は、同号には該当しないものと解される。 |