ID番号 | : | 06174 |
事件名 | : | 賃金仮払仮処分申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 名海運輸作業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 組合を脱退し分会を結成した労働者がユニオン・ショップにより解雇され、右解雇の効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働組合法16条 民法90条 民法1条3項 労働基準法93条 労働基準法11条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / ユニオンショップ協定と解雇 就業規則(民事) / 就業規則と労働契約 賃金(民事) / 賃金・退職年金と争訟 |
裁判年月日 | : | 1993年2月12日 |
裁判所名 | : | 名古屋地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成4年 (ヨ) 1007 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労経速報1521号22頁/労働判例652号84頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-ユニオンショップ協定と解雇〕 ユ・シ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退しまたは除名されたが、他の労働組合に加入しまたは新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害する点で民法九〇条の規定により無効と解すべきである(最高裁平成元年一二月一四日第一小法廷判決・民集四三巻一二号二〇五一頁)から、本件協定も、債務者との間でユ・シ協定を締結している本件組合から除名されて全日本港湾労働組合に加入し、同組合東海地方名古屋支部A作業分会を結成した債権者らについて、債務者に解雇を義務づけている部分の限度で民法九〇条の規定により無効と解すべきであり、右解雇義務が存在しないにもかかわらず、本件規則第二二条四号に基づいてなされた本件予備的解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものとして是認することはできず、他に解雇の合理性を裏づける特段の事由がない限り、解雇権の濫用として無効であるといわざるを得ない。 〔就業規則-就業規則と労働契約〕 就業規則は、労働条件を統一的・画一的に定めるものとして、その適用を受けるすべての労働者と債務者との労働契約の内容を補充する機能を有すべきものであるから、前記1に認定したように、本件妥結内容のうち、債務者就業規則四七条に基づいて定められた本件規定に成文化された部分に関しては、右就業規則と一体になったものとして就業規則と同一の効力を有するに至り、債権者らを含む債務者のすべての従業員と債務者との間の労働契約の内容を補充し規制するに至っているものと認めるのが相当である。 〔賃金-賃金・退職年金と争訟〕 一般に夏季及び冬季一時金は賃金の支払い的性格が強いもので、給料生活者は、夏季及び冬季の一時金を必要不可欠の収入と予定して年間の生活設計を立てており、月々の給料で賄い切れない臨時的、季節的出費や月々の赤字補填に充てているのが通例であること、本件夏季一時金の仮払額自体からも相当額の所得税が源泉徴収されることが予想されることのほか本件記録に現われた一切の事情を総合考慮すると、債権者らの前記認定の平成四年度における昇給差額分賃金及び夏季一時金については、その全額について仮払いの必要性を認めるのが相当である。 |