ID番号 | : | 06180 |
事件名 | : | 業務外認定処分取消請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 函館労基署長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | タクシー運転手が運転業務中に発症した脳出血につき、業務災害に当たらないとした労基署長の不支給処分を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法1条 労働者災害補償保険法7条1項1号 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等 |
裁判年月日 | : | 1993年4月21日 |
裁判所名 | : | 札幌高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (行コ) 1 |
裁判結果 | : | 棄却(上告) |
出典 | : | 訟務月報40巻3号628頁 |
審級関係 | : | 一審/05226/函館地/平 1.12.21/昭和56年(行ウ)1号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕 当裁判所も、控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきものと判断する。その理由は、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。〔中略〕 同二七枚目裏二ないし四行目「労働者に基礎疾病が存在する場合、業務がその基礎疾病と共働原因となって当該疾病を発症させたと認められるときには」を「労働者に基礎疾病が存在する場合、医学的知見を含め経験則に照らして、業務の遂行が基礎疾病をその自然的経過を超えて増悪させたと認められるときには」に改める。〔中略〕 労働者に本態性高血圧症が存在する場合、医学的知見を含め経験則に照らして関係事実を総合検討して、業務の遂行が当該労働者の本態性高血圧症をその自然的経過を超えて増悪させたと認められるときには、右業務の遂行と脳出血の発症との間に相当因果関係を認めるのが相当である。〔中略〕 控訴人がタクシー運転業務に従事中に本件脳出血が発症したことは当事者間に争いがないが、右事実のみから直ちに控訴人が従事していたタクシー運転労働が、高血圧症罹患者である控訴人の血管病変等を自然経過を超えて増悪させ、本件脳出血を発症させたと結論づけることができないことはいうまでもない。〈証拠略〉の高血圧者の発症に関する臨床的要因に関する前期説明によれば、強い身体的負荷ないし精神的不安、緊張、焦燥など種々の心理的ストレスが、脳出血発症の要因因子となりうるものであり、控訴人が従事していたタクシー運転業務も一定の状況のもとにおいては脳出血発症の要因因子となりうる可能性があったことは否定することができない。 |