ID番号 | : | 06195 |
事件名 | : | 退職金等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | アイエムエフ事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 退職金の支給基準は相手方の同意なくしては変更できないとして、旧退職金規定が適用されるとし、本件では本人の自己都合による退職に基づく退職金計算がされた事例。 賞与に関する支給日在籍要件に基づき、支給日以前に退職した者に賞与請求権はないとされた事例。 皆勤手当につき、本件雇用契約の内容になっておらず皆勤手当請求権はないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法24条1項 労働基準法89条1項3の2号 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 勤勉手当 賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 支給日在籍制度 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算 |
裁判年月日 | : | 1993年7月16日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成4年 (ワ) 6725 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例638号58頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕 1 原告の退職金計算について、旧退職金規定が適用されるのか、新退職金規定が適用されるのか。 本件退職金規定の改正は、従業員にとって明らかに不利益な変更であるところ(基礎となる事実関係2(一)とおり)、退職金は賃金に準じるものであり、いったん退職金支給基準が雇用契約の内容となった以上は、相手方の同意なくしてこれを変更し得ないのは、契約法理上みやすい道理であるから、退職金規定の支給率を従業員の不利益に変更するについては、被告会社の業績悪化等の事情があるとしても、右不利益変更を是認すべき特別の事情があるような場合は格別、変更前から雇用されていた従業員との関係では、その個別の同意のない限り不利益変更の効力は及ばないものと解される。 〔賃金-賞与・ボーナス・一時金-支給日在籍制度〕 二 賞与について 平成三年三月一六日実施の給与規定の改正にあたって、原告は、同意書に署名捺印することによって、新給与規定に同意したのであるから(基礎となる事実関係3(二)のとおり)、支給日在籍要件を加えたことが旧給与規定を不利益に変更したものか、あるいは従前の被告会社における扱いを確認したにすぎないものかを論ずるまでもなく、原告に新給与規定の支給日在籍要件が適用されることは明らかというべきである。したがって、平成四年度夏季賞与の支給日に被告会社に在籍していなかった原告に右賞与請求権はない。 〔賃金-賞与・ボーナス・一時金-勤勉手当〕 三 皆勤手当について 原告は、本件雇用契約締結の際、皆勤手当一万円の支給を雇用条件として明示されたと主張し、原告本人はこれに沿う供述をする。しかしながら、被告会社においては、会社設立以来、皆勤手当は、役職者及び役職待遇者以外の従業員に支給され、役職者及び役職待遇者には支給されていない扱いがされてきたことに照らせば、被告会社が、本件雇用契約締結の際、役職待遇者として採用された原告に対し、皆勤手当を支給する旨の雇用条件を提示したと認めるのは困難である。また、仮に、原告本人の右供述のとおり、被告会社の担当者が、原告に対し、皆勤手当を支給する旨の雇用条件を提示したとしても、原告本人が更に供述するところによれば、原告は、入社後最初の給与支払時に、右担当者から、役職待遇者には皆勤手当は支給されないとの説明を受けて、その後は異議を申し出ないまま、退職するまで皆勤手当を含まない賃金の支給を受けてきたというのであるから、原告は、最終的には右担当者の説明を受け入れて、皆勤手当の支給は、本件雇用契約の内容にはならなかったものと認めるが相当である。 |