全 情 報

ID番号 06197
事件名 給料等請求事件
いわゆる事件名 パピルス事件
争点
事案概要  メーカーから直接にコンピューターシステムのマニュアル作成の契約受注を継続的に受けうる体制をつくるための営業活動、および右契約が成立した場合における制作実務・進行管理に限定されている契約につき、本件契約は雇用契約ではなく業務委託契約とされ、本件契約は合意解約されており報酬の請求は認められないとされた事例。
参照法条 労働基準法2章
民法623条
民法632条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 委任・請負と労働契約
裁判年月日 1993年7月23日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成4年 (ワ) 174 
裁判結果 棄却
出典 労働判例638号53頁
審級関係
評釈論文 甲斐祥郎・労働判例百選<第6版>〔別冊ジュリスト134〕4~5頁1995年5月
判決理由 〔労基法の基本原則-労働者-委任・請負と労働契約〕
 本件契約上、原告が行う業務は、メーカーから直接にコンピューターシステムのマニュアル作成の契約受注を継続的に受け得る体制をつくるための営業活動及び契約が成立した場合における制作実務及び進行管理等に一応限定され、契約の企画制作及び進行管理等に携わった場合には、月額二〇万円の報酬に加えて、受注額に応じた報酬の支払約束があったこと、原告は、右業務の必要に応じて出勤を要するものとされ、時間管理の拘束を受けていなかったうえ、被告から具体的な指示・命令を受けない自由な立場で営業活動を行っていたこと、原告の希望により、原告に支払われた給与名目の金員から健康保険、厚生年金、雇用保険等の社会保険料及び地方税の各控除が行われず、所得税の源泉徴収についても、主たる給与等でない源泉税率表乙欄の税率が適用され、被告が主たる就業先でない扱いがされていたこと、したがって、右のような立場にあった原告は、被告からも被告以外の他の仕事に従事することが許容されていたとみることができることなどが認められ、以上の事実によれば、被告と原告との間に支配従属関係があるとはいえないから、本件契約は、被告のためにコンピューターシステムのマニュアル作成等の仕事の仲介営業活動等を行うことを内容とする業務委託契約であると認めるのが相当である。