ID番号 | : | 06205 |
事件名 | : | 解雇予告手当本訴・同反訴請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | アクティ英会話スクール事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 英会話学校の会話講師である外国人の退職の意思表示が退職予告であり、合意解約の意思表示ではないと判断され、使用者が即時解雇したもので解雇予告手当の支払義務があるとされた事例。 解雇予告違反と解雇の私法上の効力につき、使用者が即時解雇に固執しておらず、三〇日を経過した時点で解雇の効力が発生するとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法20条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇予告 / 合意解約と解雇予告 退職 / 合意解約 解雇(民事) / 解雇予告手当 / 解雇予告手当請求権 |
裁判年月日 | : | 1993年9月27日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成4年 (レ) 80 |
裁判結果 | : | 本訴原判決変更・反訴棄却 |
出典 | : | 労経速報1515号10頁/労働判例646号55頁 |
審級関係 | : | 一審/大阪簡/平 4.12. 3/不明 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職-合意解約〕 被控訴人がAに渡した英文の手紙(〈証拠略〉)には、被控訴人が控訴人スクールを退職するつもりであること及び予告の期間中は職にとどまることが記載されていたこと、被控訴人は、事前に被控訴人代理人弁護士から、契約書に三か月前の予告が必要とされているので退職するときは三か月前に予告をしたほうが良いなどのアドバイスを受けていた上、当時、他に就職するあてがなく、直ちに退職の効果をもたらす可能性のある合意解約の申入れをするとは考えにくい状況の下にあったこと、七月四日、被控訴人とAがBを交えてした二回目の話合いにおいて、被控訴人は、退職の予告をするのである旨を明確にAに伝えていることが認められ、これらの事実関係を総合すると、被控訴人は、退職の予告の意思表示をしたものと認めることができる。 〔解雇-解雇予告-合意解約と解雇予告〕 前記認定の事実によると、Aは、七月四日に、被控訴人が三か月の期間を置いて退職の予告をして来たのに対し、即時に辞めてもよく、明日から来なくてよい旨伝えるとともに、同日の二回目の話合いの際、先刻被控訴人との間で今日辞める旨話がついたのであると主張し続けたこと、被控訴人は、七月四日時点で他に就職するあてもなかったことから、即時に退職する意思を有していなかったこと、Aは、七月四日の最初の話合いの後、すぐに被控訴人、控訴人間の債権債務関係の清算手続を始めたこと、七月五日以降の被控訴人の予定をすべて外したこと、七月六日に控訴人スクールを訪れた被控訴人が控訴人スクールで仕事を続けたいと告げたのに、受け付けなかったことが認められ、これらの事実と三か月間の予告期間が雇主である被控訴人のためのみにあるのでなく、被用者である被控訴人にとっても就労期間を確保するとの利益があることからすると、Aは、七月四日に、被控訴人との間の労働契約を解約し、同人を即時解雇する旨の意思表示をしたことが認められる。 3 以上のとおり、Aは、七月四日、被控訴人を即時解雇する旨の意思表示をしたものであるところ、Aが控訴人スクールの経営の一切を控訴人から任されていたことは前記認定のとおりであるから、控訴人は、その代理人であるAを介して、同日、被控訴人を即時解雇したものと認めることができる。 〔解雇-解雇予告手当-解雇予告手当請求権〕 二で判断したとおり、控訴人は、七月四日、解雇予告手当の支払をしないで被控訴人を即時解雇した。しかし、控訴人が即時解雇に固執しているものとは認められないから、七月四日から三〇日の期間が経過することによって解雇の効力が生じたものというべきである。 |