ID番号 | : | 06222 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本消費者協会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 勤務成績が著しく不良としてなされた懲戒解雇が有効とされた事例。 専務理事に暴力を受けたこと、小部屋に隔離され業務を担当させられたこと等を理由とする損害賠償請求が棄却された事例。 時間外労働手当分の損害賠償請求が棄却された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 労働基準法37条 民法709条 民法710条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 使用者に対する労災以外の損害賠償 賃金(民事) / 割増賃金 / 支払い義務 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤 |
裁判年月日 | : | 1993年12月7日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (ワ) 16101 |
裁判結果 | : | 一部却下,一部棄却 |
出典 | : | 労経速報1518号11頁/労働判例648号44頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務懈怠・欠勤〕 A専務理事ら上司が原告を注意指導しようとしたが、原告はこれにまったく耳を傾けず、声を張り上げて被告を非難したり、反抗するばかりで、ついに専務理事の命令に従わなかった。 これに加え、原告は、遅刻が多く、また、無断欠勤もあり、上司が始末書の提出を命じても、これを拒否した。 被告は、再三にわたり原告の前記言動について指導をしたが、原告はこれに従わないので、何度も厳重注意処分にしたり、譴責処分にして、原告の反省を促したが、原告の態度は改まらず、本件懲戒解雇処分となった。 右認定した事実によると、本件懲戒解雇処分には前述した処分事由があり、本件懲戒解雇処分が懲戒権を濫用してなされた事情も認められない。 よって、本件懲戒解雇処分は有効であり、この点に関する原告の主張は理由がない。 〔労働契約-労働契約上の権利義務-使用者に対する労災以外の損害賠償〕 〔賃金-割増賃金-支払い義務〕 1 原告は、昭和五六年から昭和五九年までの間、時間外労働手当として二二八万九一四四円及び休日等の時間外労働手当として五五三万四六六六円の賃金債権を有し、原告の労働によって得た被告の事業利益として一一五八万円、原告が教育相談事業職員二名に代わり稼働したことによって被告が得た利益分として二六八九万五二二〇円及び原告が被告のために労働を提供したことにより被告が支払を免れた違約金等として二七〇〇万円の各不当利得返還請求権を有する旨を主張する。 しかし、原告の主張する右請求債権の根拠は明らかでなく、これを認めるに足りる証拠もない。 よって、この点に関する原告の主張も理由がない。 2 原告は、昭和六三年一月一九日、専務理事に突き飛ばされ、精神的苦痛を受け、これを慰藉するには一万円が相当であり、この際、原告所有の湯呑茶碗も破損させられ、二七〇〇円相当の損害を被った旨を主張する。 原告は、前述したとおり、昭和六三年一月二〇日、企画室から国際シンポジュウム開催準備室に配置換えとなったが、これに先立つ同月一九日、この配置換えを不満として配置換えに伴う机等の移動作業中、当時の専務理事Bの指示に従わず机にしがみつき、このやりとりで暴力を受けたと警察当局に通報したことはあった(〈証拠・人証略〉)。しかし、右の事実以外に、原告主張事実に副ったかの如き原告の供述はにわかには信用することができず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。 よって、この点に関する原告の主張も理由がない。 3 原告は、被告は原告を昭和六三年一月一九日から平成元年一月一二日まで他の職員から隔離された小部屋に配置し、業務をも担当させなかったので、原告はこれにより精神的苦痛を受け、これを慰藉するには六三万円が相当である旨の主張をする。 原告は、前述したとおり、昭和六〇年の教育相談室から商品テスト室に配置換えとなったことに不満を抱き、上司に対する反抗的態度を示すようになり、その後も上司の指示に従わず仕事を拒否していたのであって、原告が主張するように被告が原告を他の職員から隔離して業務を担当させなかったことを認めるに足りる証拠はない。 よって、この点に関する原告の主張も理由がない。 4 原告は、被告は原告に対し本件懲戒解雇処分をなし、この旨の掲示をなし、いたずらに解決を放置したため、精神的苦痛と減少した名誉に対する代償及びその回復のため原告が発信する挨拶状送付費用として一五万円相当の損害を被った旨を主張する。 本件懲戒解雇処分が有効であることは前述したとおりであり、他に原告主張事実を認めるに足りる証拠もない。 よって、この点に関する原告の主張も理由がない。 |