ID番号 | : | 06236 |
事件名 | : | 不当労働行為救済命令取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 千代田化工建設事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 子会社への移籍拒否を理由とする解雇につき、人員削減の必要性は認められるものの、解雇回避努力義務を欠いているので無効とされた事例。 組合内少数派労働者に対する子会社への移籍拒否を理由とする解雇につき、不当労働行為に該当するとして、中労委の権情命令が維持された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働組合法7条 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 業務命令違反 解雇(民事) / 解雇事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1994年1月27日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成4年 (行ウ) 126 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例645号27頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-業務命令違反〕 第一次及び第二次非常時対策による移籍実施にあたっては、原告会社と組合とが十分な協議をした上で、移籍対象者の同意が条件とされたもので、そもそも右施策自体は厳密な整理要件を定めた上でなされた整理解雇策とは異なるのであって、移籍により原告会社を退職するにあたっては、退職金に特別加算金が加えられる等の配慮がなされ、移籍対象者は、移籍先の事業内容や、移籍を拒否した場合の職種転換等のリスクを考慮に入れながら、移籍の利害得失を十分に検討した上で移籍の同意不同意を自ら決することができたのである。したがって、同意者と不同意者との右賃金格差のみを取り上げて一概に不公平であるとはいえないし、右施策実施にあたっては、原告会社においても補助参加人のように移籍に同意しない者が出てくることは十分に予測できたはずであるから、不同意者が生じた場合にはさらに人員削減が必要となってくるということであるならば、それについてまた別途その合理的な施策を講ずる必要があるのであり、補助参加人が自由意思により大多数の移籍同意者とは異なる判断をしたからといって、直ちに原告会社の補助参加人に対する前記の解雇回避努力が免除される理由にはならない。それ故、原告の右主張は採用できない。 (五) そうすると、結局、本件の場合、原告会社において人員削減の必要性があったこと自体は認められるものの、十分な解雇回避努力が尽くされないまま補助参加人に対する解雇という手段が選択されたものであり、本件解雇は、就業規則二二条一項七号及び労働協約七六条八号所定の「雇用を続行できないとき」に当たるものとはいえず、解雇権の濫用であるというべきであるから、無効である。 〔解雇-解雇事由-違法争議行為・組合活動〕 前記(一)の各事実を総合すれば、原告会社は、昭和四八年ないし五〇年ころには、すでに補助参加人グループに属する組合員に対し、日本共産党の活動を行い、あるいは反社会的言動をしているとして敵視しており、その後本件解雇までの補助参加人グループの組合員による組合における選挙活動や修正案提出活動、あるいはストップさせる会における活動についても、これらが日本共産党による政治活動等をしているという理由で敵視しており、補助参加人が右グループに属することについても把握していたものということができ、補助参加人がした子会社への移籍に対する反対活動を違法不当なものとしてとらえ、補助参加人の仮処分申請とこれに伴う補助参加人グループの活動についても嫌悪していたことを認めることができる。 そうすると、本件解雇は、原告会社が補助参加人を含む補助参加人グループの組合員を敵視して、補助参加人の前記2(一)(二)の正当な組合活動について嫌悪し、右活動に対して嫌悪する意思をもってしたものであると推認することができる。 4 以上によれば、本件解雇は、労組法七条一号所定の不当労働行為に当たるものと認めることができる。 |